自分の声を録音してチェックする方法。嫌な声で止まらない聞き方

自分の声を録音すると嫌に聞こえる人へ。声の好き嫌いではなく、第一声・息・語尾を確認する方法を整理します。

奥津ユキ

録音した自分の声を聞き返して嫌になる時は、声質そのものを直そうとしても変わりにくいです。何を直せばよいか分からなくなる背景には、好きか嫌いかだけで録音を判断してしまい、入り・息・語尾を切り分けて聞けていないことがよくあります。声を強くする前に、息→喉→体→第一声→語尾→間という順番で録音を聞き直すと、崩れている箇所の見当がつきやすくなります。

録音する前に、体の準備を一つ変えます

録音してすぐ再生すると、声を出した瞬間だけが気になりがちです。けれど入りの音は、録音を始める前の数秒でほとんど決まっていて、それは再生して初めて聞き取れます。

たとえば、次の一文です。

「今日は、三つの順番で確認します。」

この一文を録音のたびに急いで出そうとすると、声は喉の奥から始まりやすくなります。言葉の選び方や滑舌を整えても、録音ボタンを押す前に息が止まっていれば、再生した第一声はどうしても硬く聞こえます。反対に、録音を始める直前に小さく息を流し、体の前側にわずかな余白を作ってから話すと、同じ一文でも入りの音が変わって残ります。

録音の自分の声が気持ち悪く感じるのは、単に聞き慣れていないだけで、本当の声とは別物だからだと思われがちです。ですが実際はその逆で、喋っている最中に自分の耳へ届いている声のほうが、体の内側を伝わる音と外の空気を伝わる音が混ざった、ズレのある聞こえ方をしています。録音で流れてくる声は、相手が普段受け取っている声にむしろ近いものです。声質を責める前に、入り・息・語尾という、録音でも比べやすい部分に注目してください。初めて聞くと大抵は情けない声に感じますが、同じ録音を何度か聞き返しているうちに耳のほうが慣れていき、無理に声を作り変えなくても気にならなくなっていきます。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

「今日は、三つの順番で確認します。」を録音で聞き比べると分かるように、印象は声色だけで決まるのではなく、入り・息・語尾・間の噛み合わせで変わります。

原因は声量ではなく、入りの硬さです

録音を聞いて自分の声が嫌になると、つい声量を足したくなります。ですが、印象だけで練習をやめてしまうと喉に力が集まり、かえって次の言葉が出しにくくなります。まず見るのは最初の音です。最初の音が喉の奥で始まっていれば、続く言葉も奥にこもったまま録音に残ってしまいます。

同じ一文を三段階に分けて録音します

一文の確認は、一回で終わらせず三つの録音に分けると、変化が聞き取りやすくなります。

一つ目は、普段通りに読んだ録音です。「今日は、三つの順番で確認します。」を、途中で直さずに読み切って残します。ここで整えてしまうと、後で聞き比べる元の状態が残らなくなります。

二つ目は、声を出す直前に短く息を流してから読んだ録音です。大きく吸う必要はなく、むしろ吸いすぎると胸や肩が固まり、かえって声が喉から始まりやすくなります。短く吐いてから同じ一文を読み、一つ目の録音と入りの音を聞き比べてください。

三つ目は、語尾まで声を残して読んだ録音です。伸ばすという意味ではなく、最後の一音を雑に消さず、息が残っている状態で録音を止めるという意味です。三つを続けて再生すると、入り、息、語尾のどこで印象が変わったかが分かります。

息・喉・体、聞き返して分かる三つの崩れ

一つ目は息です。声を出す前に息が止まっていると、録音した第一声は硬くなります。深く吸うことより、短く吐く流れを作れているかを聞きます。

二つ目は喉です。再生した声が一瞬強く聞こえても、喉で押して出した声は録音の後半で続かなくなっていることがあります。小さく出しても詰まって聞こえるなら、声量を上げても負担が増えるだけです。

三つ目は体です。首や肩、顎、舌の根元がこわばっていると、息は流れていても声が前に出ず、録音では奥にこもって聞こえます。足の裏を床につけ、首の後ろを長く保ってから一文を録音すると、喉だけで支えていた癖に気づきやすくなります。

場所が変わっても、録音で聞く場所は同じです

声の印象は、場所や相手によって違って聞こえます。対面だと小さく感じ、オンラインだと暗く沈み、マイク越しだと強すぎ、雑談だと語尾が流れる。感じ方は毎回変わっても、録音して確認する場所は変わりません。入り、息、喉、体、語尾、間です。

場面ごとに聞く項目を増やしすぎると、どの録音で何を直しているのか分からなくなります。同じ一文の録音で、まず息が流れているか、次に喉で押していないか、最後に語尾まで同じ質感で残っているかを、順番に聞き取ってください。

語尾の後の半拍を、録音で聞き取ります

録音を聞く時、声を出している間の音だけを追いがちです。けれど日常で相手に届くのは、言い終わった後にどれだけ余白が残っているかです。語尾が急に消えている録音は、伝えたい内容と裏腹に、自信がなさそうな印象だけが残ります。

確認する時は、最後の一音を録音してから、半拍だけ間を置いて止めます。再生した半拍で、喉が苦しそうな音が残っていないか、息が止まり切っていないか、肩に力みが出ていないかを聞きます。声を出している最中の癖だけでなく、話し終えた直後の癖もここで分かります。

日常で使う声は、特別な発声練習だけでは変わりません。同じ一文を同じ条件で録音し、負担なく同じように再現できるかを聞いてください。強い声を一回録るより、軽い声を同じように何度も残せる方が、仕事や会話ではそのまま使いやすくなります。

崩れた場所を一つだけ選んで直します

録音を聞いた後に失敗しやすいのは、息も喉も姿勢も語尾も間も、一度に全部直そうとすることです。同時に変えようとすると、次の録音の声はかえって作り物のように聞こえます。まず一つだけ選んで戻してください。

第一声が硬く録れているなら息だけを聞き直します。途中で苦しそうに聞こえるなら喉だけを聞き直します。語尾が弱いなら語尾だけを聞き直します。早口に聞こえるなら、重要な言葉の前の間だけを聞き直します。直す場所を一つに絞ると、次の録音で変化があったかを確認しやすくなります。

比べる基準も同じにします。昨日と同じ一文を、同じ順番で録音してください。声が大きくなったかではなく、喉が軽く聞こえるか、息が止まっていないか、語尾が残っているかを聞き比べます。

短い一言を録音して、本番に近づけます

三段階の録音で整った声を、いきなり長い説明で試そうとすると崩れやすくなります。まずは一言で十分です。「お願いします」「確認します」「ありがとうございます」を録音し、それぞれの入り、息、語尾を聞き比べてください。

短い言葉の録音で声が整うと、長い説明の録音にも移しやすくなります。反対に、短い言葉で喉が詰まって聞こえるなら、長い説明の録音ではさらに負担が出やすくなります。短い言葉ほど、録音した時に癖がはっきり残ります。

本番直前にできる準備は多くありません。だからこそ、複雑な練習の録音ではなく、短い一文の録音を使います。短く息を流してから話し、語尾まで声を残す。この二つを録音で確認するだけでも、相手への届き方は変わります。

録音のメモは増やさず、三つで止めます

録音を聞いた後、長い反省を書く必要はありません。残すメモは三つだけにします。第一声が急いでいなかったか、途中で息が止まっていなかったか、語尾が落ちていなかったか——この三つだけ振り返れば十分です。滑舌や声量、明るさまで一度に見ようとすると、次に何を直せばいいか分からなくなります。

この三つのメモは、自分を責めるために残すのではありません。どの条件の録音で声が安定していたかを見つけ、次も同じ声を再現するために残します。録音を聞いて気になる点がいくつも出てきても、直す項目は一つだけ選んで終えてください。第一声が硬ければ次は息を流してから話し、語尾が消えていれば最後の音だけ残し、早口なら一文ごとに短い間を作ります。

録音は三十秒以内で、実際に使う言葉を読んで残すくらいで十分です。聞いた後は「次に直す一つ」だけを決めます。録音を重ねるほど、声の変化は感覚ではなく記録として残るようになり、練習を本番の声につなげやすくなります。

録音ファイルの名前も、聞き返しやすくします

録音のファイルは数が増えるほど、後から探しにくくなります。日付に加えて「第一声」「語尾」「会議前」のように、何を確認したくて残した録音かが分かる名前を付けておくと、比べる時に迷いません。

聞き比べる時は、うまくいった録音と気になった録音を並べて再生します。どちらが好みかではなく、どちらが相手に届きやすいかで判断します。この作業を続けると、声の変化を勘ではなく録音という条件で確かめられるようになります。

一回の録音で十分な日を増やします

仕上げの録音は、長く話さなくてもかまいません。実際に使う一文を一回録音し、第一声、息、語尾の順に聞き取ります。うまく聞かせようとせず、普段の声に近い状態のまま残すことを優先してください。

似た場面が次に来たら、同じ順番で声を出せているかを、もう一度録音して確かめます。声は一度で完成するものではなく、短い録音を重ねて安定させていくものです。

まとめ

自分の声を録音して聞き返すのが苦手な時は、声質や性格だけで判断しない方がよいです。声の好き嫌いで止まらず、入り・息・語尾を分けて聞けているかを確認し、息、喉、体、第一声、語尾、間の順番で整えてください。

練習に使うのは「今日は、三つの順番で確認します。」の一文だけでかまいません。普段通りの読み、息を流してからの読み、語尾まで残した読み。三本の録音を聞き比べれば、どこで声が崩れているかが見えてきます。大きな声を一回録るより、同じ条件で再現できる声を録音として残してください。

よくある質問

Q. 自分の声 録音 チェック方法の原因は何ですか
声質だけでなく、声を出す前に息が止まること、喉で押すこと、体が固まることが関わります。
Q. すぐできる練習はありますか
短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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