声の録音チェックシート。聞き返して直す場所を迷わない方法
自分の声を録音しても何を見ればよいか分からない人へ。第一声・息・喉・語尾を確認するチェックシートを整理します。
奥津ユキ
自分の声を録音して聞き直すと、何を直せばいいのか分からなくなることがあります。声が嫌に聞こえる、思ったよりこもる、早口に感じる。その印象だけで終わると、次の練習に活かせません。録音の声だけが本物とは違う、単に聞き慣れていないだけ、と考える人も多いのですが、私は逆だと考えています。話している最中に自分の耳へ聞こえている声は、体の内側を伝わってきた音も混ざった特別な聞こえ方で、実際に相手へ届いているのはむしろ録音で流れてくる方の声です。録音は、好き嫌いを判断するための道具ではなく、チェックシートのように直す場所を一つずつ書き出すために使います。
録音で最初に聞くのは第一声です
最初に聞くのは、声全体の印象ではありません。第一声が急いでいないか、喉から硬く始まっていないかを聞きます。第一声が崩れると、その後の声も崩れやすくなります。
チェックシートの一行目には、この第一声だけを書きます。声量ではなく、入り方を見ます。
次に、息が途中で止まっていないかを聞きます
話している途中で息が止まると、声は硬くなります。文の途中で急に苦しくなる、語尾が落ちる、声が小さくなる場合は、息の流れを確認します。
チェックシートの二行目は息です。たくさん吸えているかではなく、声の前に息が動いているかを聞いて書きます。
喉の負担は、声の強さではなく軽さで見ます
録音では強く聞こえる声を選びがちです。ただ、強く聞こえても喉が疲れる声なら、日常では使いにくくなります。
聞いた後に喉が重い、首に力が入った感じがあるなら、声量より喉の軽さを優先します。小さくても詰まらない声が土台です。チェックシートの三行目には、この喉の重さだけを書きます。
最後に語尾を聞きます
語尾が落ちると、自信がない印象になりやすくなります。録音では、最後の一音が雑に消えていないかを聞きます。
語尾を伸ばす必要はありません。最後まで息が残っているかを確認します。これがチェックシートの四行目です。
チェックシートは、点数をつけるためではありません
録音を聞く時、うまいか下手かで判断すると練習が続きにくくなります。チェックシートは、自分を評価するためではなく、次に見る場所を決めるために使います。余談ですが、録音を繰り返し聞いていると、次第に耳がその声に慣れていきます。慣れてくると、無理に低く見せたり明るく作ったりしなくても、自分の声のままで十分だと感じられるようになっていきます。
第一声、息、喉、語尾、間。この五つのうち、一つだけ直す場所を決めます。全部に印をつける必要はありません。次の一回で直す場所が分かれば、録音もチェックシートも十分に役立っています。
記録は短く残します
録音後のメモは長く書かなくてかまいません。「第一声が急いだ」「語尾が落ちた」「喉が重い」のように短く残します。
短い記録を続けると、自分の崩れやすい場所が見えてきます。毎回違う練習をするより、同じ基準で記録する方が、変化を追いやすくなります。
チェックシートの一行目は、一文の録音から
練習に使う一文は、次のような短い言葉で十分です。
「今日は、三つの順番で確認します。」
チェックシートに書き込む前に、まず何も直さずにこの一文を読みます。普段の声の入り、息の止まり方、語尾の落ち方を、そのまま一行目に記録します。直す前の状態が分からないと、後で何が変わったのか判断できません。
次の欄には、息を流してから読んだ結果を書きます。声を出す直前に、短く息を流すだけです。大きく吸う必要はありません。短く吐いてから同じ一文を読むと、声の入りが変わるので、その違いを一言でメモします。
最後の欄には、語尾まで声を残して読んだ結果を書きます。長く伸ばすことではありません。文末の一音を投げ捨てず、消える瞬間まで息が続いていたか。欄に書くのはその一点だけです。三つの欄を並べて見比べると、同じ一文でも入り方がこれだけ変わることが分かります。
チェックシートの三つの欄を並べて見ます
欄を三つに分けると、崩れている場所がはっきりします。
一つ目の欄は第一声です。最初の音が急いでいないか、喉から硬く出ていないかを一文ごとに書きます。第一声の欄が整うと、その後の声も崩れにくくなります。
二つ目の欄は息です。途中で息が止まっていないかを書きます。声の大きさではなく、息が流れているかどうかを見ます。息の欄が止まっていると、声は喉に集まりやすくなります。
三つ目の欄は語尾です。最後の音が落ちていないかを書きます。語尾の欄が残っていれば、内容の印象も相手に残りやすくなります。
短い言葉の欄で確認してから、長い説明に移します
チェックシートで整った声を、いきなり長い説明や会話でそのまま使おうとすると、崩れやすくなります。まずは短い言葉の欄を作ります。「お願いします」「確認します」「ありがとうございます」のような挨拶や返事、締めの一言で、入り、息、語尾を確認します。
短い言葉の欄で声が整えば、長い説明に移した時も同じ状態を保ちやすくなります。逆の場合も欄を見れば予測できます。「お願いします」の五文字ですでに喉が詰まっているなら、数分の説明では負担がもっと大きくなるはずです。短い言葉ほど声の癖がそのまま出るので、チェックシートの中では一番読み取りやすい欄になります。
日常で使う時も、この短い言葉の欄を目安にします。挨拶、確認、返事、報告、締めの一言など、実際に自分が使う場面の言葉を選んで書き込みます。特別な言い回しを新しく作る必要はありません。普段の言葉のまま、第一声と語尾だけを見比べます。
チェックが多すぎる時は、印を一つに絞ります
チェックシートの全部の欄に一度に手を入れようとすると、練習は崩れやすくなります。息の欄も喉の欄も、姿勢、語尾、間の欄までまとめて変えにいくと、出てくる声は作り物に近づいていきます。
第一声の欄が硬いなら、息の欄だけを見ます。途中で苦しくなるなら、喉の欄だけを見ます。最後が弱いなら、語尾の欄だけを見ます。早口になるなら、重要な言葉の前の間だけを見ます。印をつける欄を一つに絞ると、次の録音で変化を確認しやすくなります。
チェックシートを使った一回の練習の流れ
一回の練習に時間をかける必要はありません。まず一文を決めて、チェックシートの一行目に普段通りの録音を書き込みます。次に、息を流してから同じ一文を読み、二行目に書きます。最後に、語尾まで声を残して読み、三行目に書きます。
三行そろったら、録音を順に聞き返しながら行を見比べます。比べる基準は声量の増減ではありません。一行目より第一声が軽く入ったか。喉の重さは減ったか。語尾は最後まで残ったか。行ごとに丸をつけていくと、変化した場所が目で追えます。
この流れを使うと、練習が感覚だけで終わりません。チェックシートのどの行が変わったのか、次にどの欄を見るのかが、その場で分かります。
チェックシートで差が見えない時
声の変化は、自分では気づきにくいことがあります。自分の中では大きく変えたつもりでも、録音で聞き直すとあまり変わっていないことがあります。反対に、自分では小さな変化だと思っても、聞き手には印象が変わって伝わることもあります。
チェックシートで差が見えにくい時は、聞く欄を絞ります。第一声だけ、語尾だけ、喉の軽さだけを順番に聞くようにします。全部の欄を同時に聞き比べようとすると、かえって違いが見えにくくなります。
チェックシートの項目を増やしすぎません
声の練習で重く感じやすいのは、見る項目が多く見えることです。息、喉、体、滑舌、響き、高さ、抑揚、表情まで一度にチェックシートへ書き込もうとすると、練習そのものが重くなります。最初から全部の欄を埋める必要はありません。
チェックシートの項目は三つに絞ります。第一声が急いでいないか。息が止まっていないか。語尾が落ちていないか。この三つの欄が埋まれば、練習は十分に前へ進みます。余裕が出てから、滑舌や高さ、響き、抑揚の欄を足していきます。
録音を聞き返す時も、欄の数を絞ったままにします。うまいか下手かでチェックシートを埋めようとすると、その日の気分で答えが変わってしまいます。第一声、息、語尾の三つの欄だけを見比べれば、次にどこを直すかは書かなくても分かるようになります。
チェックシートに書きたくない進め方
チェックシートの結果を良くしたい一心で、声を強く張ってしまうことがあります。喉を押して出した声は録音では一瞬大きく聞こえますが、長く話すと疲れやすく、日常の会話にはそのまま持ち出しにくい声です。欄に印がついても、その印は当てになりません。
項目を毎回入れ替えるのも避けたい進め方です。昨日は滑舌、今日は高さ、明日は腹式呼吸というように見る場所を変えると、どの練習で何が変わったのか、シートを見返しても追えなくなります。同じ一文、同じ順番、同じ録音条件で書き続けることが、比較を成立させます。
低く見せよう、明るく響かせようと声を作り込みすぎるのも、欄の意味を薄くします。普段の声のまま、息の欄と語尾の欄だけを整えるほうが、次に見返した時に自分の声だと分かります。
最後の行は、普段の声に戻して確認します
チェックシートの最後の行は、練習で整えた声ではなく、普段の声に戻して書きます。作った声のままでは、日常に移しにくくなるからです。同じ一文をもう一度、普段の声に近い状態で読み、息が流れているか、喉で押していないか、語尾まで声が残っているかを確認します。
普段の声に戻しても、第一声、息、語尾の条件が残っていれば、その練習は日常でそのまま使えます。特別な声を作るより、普段の声の中で崩れている場所を整える方が、チェックシートには実感として残ります。
最後に、実際に使う一文をもう一度録音して、この最後の行と見比べます。第一声が急がず出ているか、息が途中で止まっていないか、語尾が最後まで残っているか。ここまでそろえば、練習した声を日常に移しやすくなります。チェックシートは、点数をつけるためではなく、次に録音するときに見る場所を一つ決めるための道具です。
まとめ
録音を聞いて何を直せばいいか迷う時は、声質や性格だけで判断しない方がよいです。第一声、息、喉、語尾、間を分けてチェックシートに書き出すと、直す場所が明確になります。
用意するのは「今日は、三つの順番で確認します。」の一文だけです。普段通りの読み、息を流してからの読み、語尾まで残した読み。この三行をシートに並べて聞き比べれば、崩れている行がどれかは自分で見つけられます。目指すのは大きな声ではなく、どの行でも同じ条件で再現できる声です。
よくある質問
- Q. 声 録音 チェックシートで最初に見る場所はどこですか
- 声量より先に、第一声、息、喉の負担、語尾の残り方を確認します。
- Q. すぐできる練習はありますか
- 短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
- Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
- 痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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詳しいプロフィール →録音した自分の声が嫌いな理由。自分の声を責めずに整える方法
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