笑い声が大きくなりすぎる原因。場に合わせて声量を整える方法

笑い声が大きい、響きすぎる、周りの目が気になる時に、我慢ではなく息と体の抜け方から整理します。

奥津ユキ

職場や会食で、笑った瞬間だけ声が大きく飛び出してしまう。周りの視線が気になって、次からは喉で押さえ込もうとする。その前に、自分の声量がどこで跳ねているのかを、録音で一度だけ確かめてみてください。声質の問題ではないことが、一分で分かります。

息を止めた声と、流した声を録り比べてみてください

スマホのボイスメモで、次の一文を二回録音します。

「そうなんですね、思わず笑ってしまいました。」

一度目は、息を大きく吸って一度止めてから、一気に言います。二度目は、声を出す前に小さく息を流してから言います。再生して並べると、一度目は最初の音が硬く飛び出し、二度目は同じ声量のつもりでも立ち上がりが柔らかく聞こえるはずです。

笑った瞬間に声が跳ねるとき、体の中で起きているのは、この一度目とほとんど同じことです。笑いの直前に息が止まり、たまった圧が一気に抜ける。だから直すべきは声質でも性格でもなく、声を出す前の息の扱いです。

原因は声量ではなく、入り方の崩れです

笑った瞬間だけ声量が跳ねて周りの視線が気になる時、多くの人はまず我慢して喉を固めようとします。「笑い声は喉を締めて我慢すれば止められる」と思われがちですが、実際は締めるほど喉に力が集まり、そこから抜ける瞬間にかえって大きく弾けてしまいます。

先に見たいのは、笑いの直後に出す最初の音です。笑って息が一気に抜けた直後は、次の言葉が喉の奥から始まりやすく、そのまま話すと声がこもるか、反動でまた跳ねます。最初の音さえ息の流れに乗せられれば、続く言葉は自然に前へ出ます。必要なのは我慢ではなく、笑いの立ち上がりを小さく整えることです。

先ほどの一文は、三つの手順に分けて出してみると崩れ方がよく見えます。はじめは口を開ける準備だけで止める。続けて、声なしの短い息だけを流す。締めに、その息の流れの上へ一文をすべらせる。ここまで分解すると、自分の笑い声が喉で押されているのか、息に乗れているのかがはっきりします。息はゆっくり出すほど途中で詰まりやすく、ペダルを軽くひと押しして自走を始める時のように、短くさっと流す方がかえって安定して声に乗ります。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

声の印象は、声色だけでは決まりません。入り、息、語尾、間がそろうと、笑う場面でも相手への届き方が変わります。

笑う前の息、喉、体をこの順で確認します

一つ目は息です。笑う直前は息を大きく吸い込みがちで、そのまま止まると第一声が硬く飛び出します。深く吸い込むことよりも、笑いに入る前に短く吐く流れを作っておく方が、声量の跳ねは抑えられます。吸いすぎは胸や肩を持ち上げ、体を固める原因にもなります。

二つ目は喉です。喉で押す声は、一瞬だけ強く聞こえても長く続きません。職場や会食で笑いが大きく抜ける場面では、我慢して喉を固めるより、喉の奥を固めずに出せる小さな声を先に確かめます。喉を固めても抜ける場合は、我慢を重ねても負担が増えるだけです。

三つ目は体です。笑いをこらえようとして首や肩、顎、舌の根元が固まると、息は流れていても声の通り道が狭くなり、抜ける瞬間に一気に跳ねます。姿勢を作り込む必要はありませんが、椅子でも立ち姿でも足の裏を床に感じ、首の後ろをすっと長くしてから一文を出すと、喉だけでブレーキをかけている癖に気づけます。喉で止めにいく代わりに、お腹の奥をスライムを軽くつまむような感覚できゅっと保ったままにしておくと、笑いの前もあとも支えが抜けにくくなります。

会議室でも会食の席でも、確認する場所は同じです

笑い声の悩みは、場所によって形を変えます。会議室では響きすぎる。にぎやかな会食の席ではちょうどよい。静かなオフィスでは一人だけ目立つ。けれど、どの場面でも確認する場所は変わりません。場面別の小技を集めるほど、いま何を直しているのかが見えなくなります。使うのは同じ一文だけで構いません。最初に息が流れているか、次に喉で押していないか、最後に語尾まで同じ質感で残っているか。この一つの順番さえ持っていれば、職場のデスクでも会食の席でも同じ確認ができます。

中でも見てほしいのは、笑いが起きる直前です。声量の跳ねは、笑っている最中ではなく、その手前で決まっていることがほとんどです。会話を急いでいる。息を止めて聞いている。肩が上がっている。喉に先回りして力を入れている。この状態のまま笑いが来ると、途中でブレーキをかけるのはまず間に合いません。

オンライン会議で自分の笑い声だけがマイクに大きく乗ってしまう、という相談も増えました。これも対面と同じで、マイクとの距離をいじるより、笑いに入る手前で息が止まっていないかを見るほうが先です。画面越しは声の跳ねがそのまま全員の耳元に届くぶん、直前のひと吐きの効果も対面よりはっきり出ます。

語尾の余白まで聞くと、笑いの直後が落ち着きます

練習では、声を出した瞬間の音ばかり聞いてしまいがちです。けれど雑談で印象を決めるのは、言い終わりの余白です。笑ったあとの一言の語尾が急にかき消えると、そこだけ取り繕ったように聞こえます。語尾まで息が残っていれば、笑いの直後の短い言葉でも落ち着いて届きます。

語尾を長く伸ばすのではありません。「しまいました」の最後の一音まで息が切れていないか、笑いの勢いのまま投げ捨てて終えていないかを聞きます。語尾が静かに残ると、笑いを挟んだ短いやり取りでも、相手には落ち着いた印象が残ります。

確かめ方は簡単です。一文を言い終えた最後の一音のあと、半拍だけ黙ってみてください。その半拍のあいだに、喉が苦しくないか、息が止まり切っていないか、肩が浮いていないかを感じます。ここまで見ると、笑った直後の跳ねだけでなく、話し終わりに残る癖まで見えてきます。

「確認します」のような短い言葉でも試します

練習文が安定してきたら、同じくらいの長さの言葉でも試します。「確認します」「お願いします」「ありがとうございます」など、職場で一日に何度も口にする言葉が向いています。短い言葉ほどごまかしが利かず、入りの跳ねと語尾の癖がそのまま出ます。試す手順は練習文と同じです。一度目は普段のまま、二度目は息を流してから、三度目は語尾まで残して。三通りを録音して並べると、自分の声がどの操作で変わるのかがはっきりします。変化はわずかで構いません。喉が軽くなり、言葉の届く位置が少し前に出ていれば、その出し方を覚えておきます。

慣れてきたら、抑えることではなく、言葉をどこに置くかへ意識を移します。喉の中で鳴らして押し出すのではなく、テーブルを挟んだ相手の手前あたりに、息の流れでそっと置くイメージです。置き場所が決まると、笑いの後の一言も張らずに済み、聞こえ方が安定します。

うまくいかない日は、回数ではなく条件を戻します

何度やっても変わらないと感じる時は、笑い方の性分ではなく、練習の条件がずれている場合が多いです。一文に入る前から急いでいる。息を吸いすぎて胸が固まっている。抑えようとして喉が持ち上がっている。録音の語尾を最後まで聞かずに次へ進んでいる。この小さなずれを一つ戻すだけで、笑い声の抜け方は変わります。

早く直したいと思うほど回数を重ねたくなりますが、息が止まったまま、喉が固まったままの反復は、押す癖の上塗りにしかなりません。回数より条件です。短く、同じ一文、同じ順番。この形を守った数回の方が、翌日に残る変化を作ります。一回の録音で見るのは一箇所だけにして、今日は息、明日は喉、その次は語尾、というように分けます。一度に全部を整えようとすると、声はどこか作り物めいてきます。

喉に痛みや強い違和感がある日は、練習を足すのではなく引いてください。水分をとる、休ませる、その日は声量を落として過ごす。そうした判断も声を整える一部です。笑い声を整えることと、喉の異変に目をつぶって耐えることは、別の話です。

笑いの多い席ほど、軽い声が頼りになります

職場や会食の声は、特別な発声法を一度覚えたからといって変わるものではありません。決めた短い一文を、同じ条件で、負担なく何度でも出せること。それが土台になります。強い声を一回決めるより、軽い声を毎回同じ質で出せる方が、笑いの多い席ほど頼りになります。

仕上げに、もう一度だけ録音してみてください。

「そうなんですね、思わず笑ってしまいました。」

声の前に息を流し、語尾のぶんまで息を残して。最初に録った、息を止めてから出した声と並べて聞いて、立ち上がりの硬さが取れていれば、笑いの席で跳ねる声はもう自分で扱えます。自然さを残しながら場に合う声量で笑うために要るのは、大きな声ではなく、同じ条件で再現できる声です。

よくある質問

Q. 笑い声 大きい 気になるの原因は何ですか
声質だけでなく、声を出す前に息が止まること、喉で押すこと、体が固まることが関わります。
Q. すぐできる練習はありますか
短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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