ボイトレを始めたばかりの人ほど、何から練習すればよいか迷いやすくなります。高い声、大きい声、滑舌、腹式呼吸、響きなど、練習の入口が多すぎるからです。けれど、最初から全部を入れると、何が変わったのか分からなくなります。初心者は、練習の量より順番を決めることが大切です。
初心者は、声を大きくする前に入り方を整えます
最初に大きな声を出す練習から始めると、喉に力が入りやすくなります。声が小さい人ほど、大きく出そうとして首や肩を固めることがあります。初心者が最初に見るのは声量ではなく、第一声の入り方です。
短い一文を普段通りに読み、次に息を流してから読みます。この二つを録音して比べるだけで、声の入りが喉から始まっているか、息が先に動いているかが分かります。
一日のメニューは短く固定します
初心者の練習は長くしすぎない方が続きます。最初の一分で息を流します。次の一分で小さな声を出します。次の一分で一文を読みます。最後に録音を聞きます。これだけでも十分です。
毎日違う練習をするより、同じ一文を同じ順番で比べる方が変化は見えます。練習を増やすのは、声の入りと語尾が安定してからでかまいません。
喉が締まりやすい人は、この一分のどこかに、手で顎の下を軽く押さえて顎が上に持ち上がらないようにしたまま声を出す練習を混ぜてみてください。押さえたまま声を出すだけで、喉の締まりが抜けやすくなります。初心者の短いメニューに、この一手間を足すだけでも土台が整いやすくなります。
語尾を残す練習を早い段階で入れます
初心者は、声の出だしだけでなく終わり方も見る必要があります。語尾が落ちると、話全体が弱く聞こえます。語尾を伸ばす必要はありません。最後の一音を雑に消さず、息が残った状態で終えることを確認します。
語尾が整うと、同じ言葉でも落ち着きや自信が出ます。初心者の段階で語尾を見る習慣を入れると、後の練習が仕事や会話に移りやすくなります。
うまくいかない日は、練習を減らします
喉が疲れる、声がかすれる、首に力が入る日は、練習を増やさない方がよいです。強く出して乗り越えるより、小さくても詰まらない声に戻します。
初心者に必要なのは根性ではなく、戻る場所です。息を流す。一文を読む。語尾を残す。この三つに戻ると、練習が崩れにくくなります。
初心者ほど、練習の成果を小さく測ります
初心者のうちは、劇的な変化を目標にしない方が練習は続きます。今日見るのは、第一声が昨日より急いでいないか。語尾が昨日より残っているか。喉の疲れが少ないか。このくらいで十分です。
一度に声を変えようとすると、体が緊張します。練習メニューは短くても、同じ順番で続けることで変化が見えます。録音で比べると、感覚では気づかない小さな変化も分かります。
ボイトレは最低でも半年くらい続けないと効果が出ない、と思われがちですが、実際は30分ほどの練習でもかなり変化を感じられることがあります。初心者ほど、成果が出るまで我慢して続けるより、最初の練習から見えた小さな変化に気づく方が、メニューを続けやすくなります。
メニューを増やすタイミング
第一声、息、語尾が安定してきたら、滑舌や声の高さ、抑揚の練習を足します。土台ができる前に練習を増やすと、何が効いたのか分からなくなります。
新しい練習を足す時も、一文録音は残します。メニューを増やしても、確認する基準は変えません。声が出しやすいか、喉に負担がないか、語尾が残っているかを見ます。
初心者メニューの一文は、この一つだけで十分です
初心者が最初に持つべき一文は、次のような短い言葉です。
「今日は、声の入り方を確認します。」
一回目は、普段のまま読みます。ここで直そうとすると、直す前の自分の癖が分からなくなります。今日はの入りが硬いか、声の入り方をの途中で息が止まっているか、確認しますの語尾が落ちているか。まずはそのまま記録します。
二回目は、読む前に短く息を吐いてから読みます。大きく吸う必要はありません。吐く息が先に流れてから声が乗ると、今日はの入りは変わります。
三回目は、確認しますの最後まで息を残す意識で読みます。語尾を伸ばすのではなく、最後の一音が雑に消えないようにするだけです。
三回の録音を並べて、変わった場所を探します
一回目、二回目、三回目を続けて聞くと、初心者でも違いに気づきやすくなります。声が大きくなったかではなく、今日はの入りが軽くなったか、声の入り方をで息が流れているか、確認しますの語尾が残っているかを聞きます。
この三か所さえ聞ければ十分です。全体の上手さで判断すると、好みの話になってしまい、次に何を練習すればいいか分からなくなります。
初心者がつまずきやすいのは、短い一文を軽く見ることです
初心者ほど、練習用の短い一文を「簡単すぎる」と感じて飛ばしたくなります。ただ、短い言葉ほど、声の入りと語尾の癖がそのまま出ます。長い説明や早口の会話は、この短い一文が整ってから移した方が安定します。
「お願いします」「確認します」「ありがとうございます」のような普段使う短い言葉でも、同じように入り、息、語尾を確認できます。短い言葉で崩れる人は、長い会話ではさらに崩れやすくなります。
一つずつ直すと、初心者でも変化が追えます
うまくいかない時、初心者ほど息も喉も姿勢も語尾も一度に直そうとしがちです。ただ、全部を同時に変えようとすると、声が作り物のようになり、逆に不安定になります。
第一声が硬いなら、息だけに集中します。途中で苦しくなるなら、喉の力みだけを見ます。最後が弱いなら、語尾だけを見ます。直す場所を一つに絞ると、次の録音で変化が分かりやすくなります。
練習の手順をカードのように固定します
練習のたびに何をするか迷わないよう、手順を先に決めておきます。まず一文を決める。次に普段通りに録音する。その後、息を流してから同じ一文を読む。最後に、語尾まで声を残して読む。
三つの録音を並べて聞くと、声量ではなく、第一声が軽くなったか、喉の負担が減ったか、語尾が残ったかが分かります。手順を固定すると、練習が毎回感覚だけの判断にならずに済みます。
仕事や会話に移す時は、短い言葉から試します
練習でできた声を、いきなり長い会話に使おうとすると崩れやすくなります。挨拶や返事、締めの一言など、短い言葉で第一声と語尾をまず確認します。
短い言葉で安定すれば、長い説明にも移しやすくなります。反対に、短い言葉で喉が詰まるなら、長い説明ではさらに負担が出ます。短い言葉を基準にすると、声の状態を早く確認できます。
変化に気づきにくい時は、聞く場所を一つに絞ります
自分では大きく変えたつもりでも、録音ではあまり変わっていないことがあります。反対に、小さな変化でも聞き手には印象が変わって届くことがあります。
変化が分かりにくい初心者は、録音を聞く時に第一声だけ、語尾だけ、喉の軽さだけを順番に聞いてみてください。全部を同時に聞こうとすると、違いが埋もれてしまいます。
基準は三つまでに絞ります
初心者がつまずきやすいのは、見るべきことが多く感じられることです。息、喉、体、滑舌、響き、高さ、抑揚まで一気に整えようとすると、練習そのものが重荷になります。
最初の基準は三つだけにします。第一声が急いでいないか。息が止まっていないか。語尾が落ちていないか。この三つが見られれば、初心者の練習としては十分に前に進んでいます。滑舌や高さは、余裕が出てから足します。
初心者が避けたい、二つの進め方
一つは、強く出せば変わると考えることです。喉で押した声は一瞬大きく聞こえても、日常の会話には移しにくく、疲れやすいです。
もう一つは、毎日違う練習を試すことです。今日は滑舌、明日は高音、その次は腹式呼吸と変えると、何が効いたのか分からなくなります。同じ一文、同じ順番、同じ録音条件で比べることが、初心者にとっていちばんの近道です。
まとめ
ボイトレ 初心者 メニューで悩む時は、声質や性格だけで判断しない方がよいです。息、喉、体、第一声、語尾、間を分けて見ると、直す場所が明確になります。
初心者が持つべき教材は、「今日は、声の入り方を確認します。」の一文と録音アプリだけです。同じ一文を、いつも通りに読む、息を先に流してから読む、語尾の一音まで残して読む、という三つの条件で録り、聞き比べてください。どの段階で声の質が変わるかが分かれば、次に直す場所は自然と絞られます。大きな声を出す練習より先に、同じ条件を毎回再現できる声を手元に残すことを優先してください。
よくある質問
- Q. ボイトレ 初心者 メニューで最初に見る場所はどこですか
- 声量より先に、第一声、息、喉の負担、語尾の残り方を確認します。
- Q. すぐできる練習はありますか
- 短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
- Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
- 痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。
詳しいプロフィール →声が小さい・通らない人へ。大きい声を出さずに改善する方法
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