ボイトレ初回で聞くべき質問。初心者が迷わない確認項目

ボイトレ初回で何を聞けばいいか分からない人へ。声の悩み、練習量、録音確認を質問できるよう整理します。

奥津ユキ

初めてのボイトレで何を尋ねればいいか分からず、とりあえず「週に何回練習すればいいですか」とだけ聞いて終わる人は少なくありません。ですが、練習の回数より先に確かめておきたいのは、声を出す前の息と体の状態、そして録音で何を聞くのかという順番です。ここを飛ばしたまま回数だけを重ねると、練習しているのに声の癖はむしろ固定されてしまうことがあります。

初回を先生任せにすると、練習の的が絞れません

初回のレッスンでありがちなのは、進行のすべてを先生に委ね、自分からは何も尋ねないことです。声を変えたい気持ちが強いほど、いきなり難しい練習に手を伸ばしたくなります。

けれど、声は強く出せば育つというものではありません。喉で押した声を繰り返すほど、その癖はむしろ強まります。高い声、低い声、大きい声、響く声を求める前に、まずは無理なく出る声を確かめる質問をしてみてください。

確かめておきたいのは、息が先に流れているか、喉に余計な力みがないか、肩や胸が固まっていないか、そして録音で同じ形をもう一度呼び出せるかという四点です。これを初回のうちに先生と共有できると、その後の練習の方向がぶれにくくなります。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

声は生まれつきの才能だけで決まるものではありません。息、喉、体を順に見直せば、初心者でも出し方は変えられます。

うまくいかない原因を、一つに決めつけないでください

何を聞けばいいか分からない、練習量だけを聞く、録音確認をしない。こうした状態には、たいてい息、喉、体の三つが絡んでいます。

息は、強すぎれば声を押し出し、弱すぎれば声が届きません。大切なのは量ではなく、声に乗る流れです。喉は、結果を急ぐほど硬くなります。響き、高音、地声、滑舌のどれも、喉だけで作ろうとすると不安定になります。体は、肩が上がる、胸が固まる、顎が上がると息の流れが変わり、喉で補う癖が出てしまいます。

練習メニューは、声を出す前の準備から始まります

一つ目は息だけの準備です。声を出さずに短く吐き、吐く息が前に流れる状態を作ります。大きく吸い込む必要はありません。

二つ目は小さな声です。喉が押されていないかを確認するために、まずは楽な音量で声を出します。

三つ目は一文の録音です。発声練習だけで終わらせず、実際の言葉へつなげます。歌や音階だけでなく、言葉になったときにどう届くかを確認します。

段階内容見るポイント
呼吸声を出さず短く息を吐く体に余計な力みがないか
発声楽な音量で声を出す喉の奥で押していないか
確認一文をそのまま録音する入りと語尾が両方残っているか

出ない声には、音量を上げるのではなく下げてみます

声が出ないと感じるほど音量を上げたくなりますが、喉で押している状態のまま音量を上げると負担が増えるだけです。まずは音量を下げてみてください。

音量を下げると、息が止まっているか、喉で押しているか、語尾が消えているかという自分の癖が見えやすくなります。小さい声で安定しない声は、大きくしても安定しません。

「声の悩み、練習量、録音で見る場所を確認します。」を楽な声で出せるか。途中で息が止まらないか。最後まで声が残るか。小さい声で確かめてから、少しずつ音量を上げていきます。

最初の一週間は、同じ一文だけで十分です

毎日違う練習をすると、何が変わったのか分かりにくくなります。最初の一週間は、次の一文を毎日録音してください。

「声の悩み、練習量、録音で見る場所を確認します。」

声量を上げる日を作るのではなく、息を見る日、喉を見る日、語尾を見る日というように、一日にひとつだけテーマを絞ります。この一週間で、自分がどこで崩れやすいかという傾向がつかめてきて、そのあとの練習量を無駄なく調整できるようになります。

できないときは、声より先に順番を戻します

声がうまく出ないと、多くの人はすぐに声そのものを直そうとします。もっと大きく、もっと高く、もっと響かせようとする前に、順番のほうを戻すと安定しやすくなります。

最初に戻すのは息です。止まったまま声を出すと喉が先に働きます。次に戻すのは体です。肩や顎が固まると息が流れにくくなります。声そのものに触れるのは最後です。息と体が整ってから、楽に出る声を確認します。

録音では、三つの変化だけを聞き取ります

録音を聞くときに、全体の上手さを判断しないでください。全体を聞くと、好き嫌いや恥ずかしさに引っ張られます。

見るのは、最初の音が喉から押し出されていないか、途中の息が止まったり急に強くなったりしていないか、最後の音まで息が残っているかの三つだけです。このどこかが少しでも変わっていれば、練習は前に進んでいます。大きな変化だけを成果にしないでください。

一回で仕上げようとしない方が、声は変わります

強い手応えを求めるほど、体は喉に頼る方向へ流れていきます。最初のうちは、無理のない範囲だけで十分です。高い音、低い音、大きな声のどれであっても、まず負担のない声を確保してから、少しずつ範囲を広げていきます。

一日目は息だけを見る、二日目は喉の力みだけを見る、三日目は録音で最後の音だけを見る。このくらいの区切りで十分です。練習を分けるほど、何が変わったのかがはっきりします。

喉に違和感がある日は、練習を軽くします

痛みがある、強いかすれがある、休んでも戻らない状態が続くようなら、無理に発声で解決しようとしないでください。軽くする日は、声量を上げず、高い音を攻めず、伸ばす時間も控えめにして、息を流す短い一文だけを録音します。

喉を守ることは、弱い練習ではありません。声を長く使えるようにするための技術です。強い声を一回出すより、必要な声を安定して出せることのほうが大切です。

質問リストは、練習が進むたびに更新します

一度質問を用意しても、練習を重ねるうちに聞きたいことは変わっていきます。最初は「録音はどこを聞けばいいですか」で十分でも、数回続けると「今日の一文はどこが昨日より変わっていますか」というように、確認したい内容が具体的になっていきます。

レッスンのたびに、うまく出せたかどうかだけを先生に伝えるのではなく、喉が軽かったか、途中で息が止まらなかったか、最後の一言が雑にならなかったかという三つを自分で先に振り返ってから質問してください。振り返りがあると、先生への質問も的が絞れ、初心者でも遠慮なく確認できるようになります。

質問できる関係を、最初のレッスンで作っておきます

初回で緊張するあまり、疑問があっても飲み込んでしまう人は少なくありません。ですが分からないまま次のレッスンへ進むと、練習の的がぼやけていきます。

「今の声はどこが変わりましたか」「次はどこを見ればいいですか」という二つだけでも、初回のうちに聞ける関係を作っておくと安心です。答えの内容そのものより、疑問をその場で確認できる習慣が、初心者のうちは何より役に立ちます。

質問の答えが専門用語だらけの時は、言い換えを頼みます

初心者のうちは、先生の説明に専門用語が混ざると、理解したふりで頷いてしまうことがあります。ですが分からないまま進むと、次の練習で何を見ればいいのかも曖昧になります。

「今のを、体の感覚で言うとどういうことですか」と聞き直すだけで構いません。専門用語を覚えることより、自分の体で何が起きているかを言葉にできる方が、初回のレッスンでは価値があります。

初回で決めるのは、正解の声ではなく見る場所です

初めてのレッスンで完成した声を求める必要はありません。決めておきたいのは、次の練習までに何を見るかという一点だけです。

息が止まっていないか。喉で押していないか。録音で再現できるか。この三つのうち、自分にとって一番気になる一つを初回のうちに先生と共有しておくと、二回目以降のレッスンが積み上がっていきます。

初心者ほど、質問を後回しにしないでください

慣れないうちは、レッスンの流れを止めてしまうのではないかと質問を遠慮してしまいがちです。ですが疑問をその場で解消せずに次へ進むと、家での練習が的外れになりやすくなります。

分からないことは、レッスンのその場で聞いてください。初心者だからこそ、小さな疑問を積み残さないことが、遠回りをしない一番の近道になります。

質問の前に、自分の言葉で状態を説明してみます

「声が出ません」とだけ伝えるより、「話し始めると喉が硬くなる気がします」というように、自分の言葉で状態を説明してみてください。うまく表現できなくても構いません。

言葉にしようとする過程で、自分がどこに違和感を持っているかが少しずつはっきりしてきます。質問の質は、うまい言い回しよりも、率直に伝えようとする姿勢から生まれます。

大人から始めても遅い、というのは思い込みです

初回のレッスンをためらう理由でよく聞くのが、年齢です。大人になってから始めても大きくは変わらないのでは、と感じる人は少なくありません。ですが私の実感ではむしろ逆で、大人の方が変化は大きく出ます。長年のうちについた声の癖がすでにある分、正しい使い方に置き換わったときの差がはっきり出るからです。初回で試してほしいのは、手の甲で軽く顎の下を押さえ、顎が上がらないようにしたまま小さく声を出してみることです。喉の締まりがふっと抜ける感覚があれば、その状態を覚えておくだけで、次の練習の的が絞れます。

まとめ

初めてのボイトレで質問に迷う時は、初回は先生に全部任せればよいと考える前に、息、喉、体、録音の順番で聞いてみてください。声の悩み、練習量、録音で見る場所を確認する質問を整えるだけでも、練習は変わります。

声を変えるというのは、喉に気合いを入れることではありません。息と体を整えた状態を、相手に届く形でいつでも呼び出せるようにする。初心者のうちに覚えておきたいのは、その一点だけです。

よくある質問

Q. ボイトレ 初回 質問では何から始めるべきですか
最初は声量や高音より、息が止まっていないか、喉で押していないか、録音で再現できるかを確認してください。
Q. 毎日練習した方がいいですか
短い練習を続けるのは有効です。ただし喉に痛みや強い違和感がある日は無理に続けず、練習量を落としてください。
Q. 録音は必要ですか
必要です。自分の中で聞こえる声と相手に届く声は違うため、録音で入り、息、語尾を確認します。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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