リモートワークの朝に声が出ない原因。最初の通話前に整える声

在宅勤務の朝に声が出ない、オンライン通話の第一声が低い、暗く聞こえる原因を整理します。

奥津ユキ

在宅勤務の朝、起きてすぐパソコンの前に座り、そのまま一番目の通話に入る。この流れの中で、声が低く暗く沈んで出にくいという相談をよく聞きます。原因は寝起きの声質そのものではなく、体がまだ起ききっていないうちにマイクへ向かい、息が流れないまま話し始めてしまうことにあります。声量でごまかす前に、息の流れ、喉の力み、体のこわばり、第一声の置き方、語尾の残り方を朝の流れに沿って確かめると、崩れている場所を特定しやすくなります。

通話が始まる前の数分、体はまだ動き出していません

たとえば、次の一文です。

「おはようございます、本日もよろしくお願いします。」

朝一番、体がまだ動き出していない状態でこの一文をいきなり出そうとすると、声は喉から絞り出すような形で始まりやすくなります。前の晩から声を使っておらず、息の通り道も体もまだ眠ったままだからです。通話のマイクをオンにする前に、椅子に座ったまま一度だけ息を通し、肩の力を軽く抜いてから最初の言葉を出すと、同じ一文でも重さが変わります。

朝だから仕方がないと気持ちだけで割り切っても、声そのものは変わりません。確かめたいのは、通話に入る前に息が体の前を流れているか、喉に余計な力が入っていないか、肩や首がこわばっていないか、そして語尾まで声が保たれているかです。ここを通話の前後で見比べると、無理に元気な声を作らなくても聞こえ方は整っていきます。

前の晩の過ごし方も、朝の声に影響します。就寝前に長時間声を出さずにいると、翌朝はさらに息の通り道が狭くなります。夜のうちに軽く声を出しておく、朝は起きてすぐ画面に向かわず数分の余白を作るといった工夫も、通話前の準備の一部です。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

朝の声の印象は、目覚めの気分だけでは決まりません。話し始めの一拍、息の流れ、語尾の残り方がそろうと、同じ寝起きの体でも届き方が変わります。

声が出ない原因は、量の問題ではなく起き抜けの体の準備不足です

起きてから声を出す機会がないまま画面に向かうと、多くの人はいきなり声量を上げて元気さを取り繕おうとします。けれど、通話開始と同時に慌てて声を張ると、喉ばかりに負担が寄って、続く言葉はかえって出しにくくなります。

注目したいのは、その日最初に出す一音です。一音目が喉の奥で詰まったまま始まると、続く言葉も奥にこもります。逆に一音目が息に乗って出れば、寝起きの体でも声は自然と前へ運ばれます。

画面に映る前に、まず口を軽く開けて息の通り道を作り、声を出さずに短く息を流し、その息の続きに一文を乗せます。この三段階を踏むと、喉で押しているのか、息に乗っているのかの違いが自分で分かります。

朝、崩れやすい息・喉・体の三か所

一つ目は息です。前の晩から声を使わずに寝ていると、朝は息の流れそのものが浅くなっています。深く吸い込むより、まず短く吐く流れを作り直します。急いで大きく吸おうとすると胸や肩が上がり、体全体が固まりやすくなります。

二つ目は喉です。喉で押して元気さを出そうとする声は、一瞬強く聞こえても長く続きません。まずは喉の奥を固めずに出せる小さな声で、その日最初の一言を確かめます。

三つ目は体です。首、肩、顎、舌の根元が起き抜けのままこわばっていると、息だけ流れていても声は画面の先まで届きません。座ったままでも、足の裏を床につけ、首の後ろの力を軽く抜いてから話し始めると、喉だけに頼る癖に気づきやすくなります。

朝の声は、締めるほど出にくくなります

声が出ない朝ほど、喉に力を込めて締めれば何とかなると思いがちですが、良い声の土台は腹式呼吸ではなく、常に軽い圧をかけ続ける腹圧の使い方です。締めて頑張るほど、声はかえって詰まって出にくくなります。私が伝えたいのは、声帯を締めるのではなく、前に伸ばす感覚です。起きてすぐの喉はまだ強く締まりやすい状態なので、力を込める前に、伸ばすつもりで一音目を置いてみてください。それだけで、同じ寝起きの体でも一音目の硬さが変わります。

通話前に一人で録ってみると、朝の状態が分かります

通話が始まる前に、家で一人で同じ一文を録ってみると、その日の朝の声の状態が具体的に分かります。声の出だしが重いか、途中で息が浅くなっていないか、語尾が沈んでいないか。この三つを聞くだけで十分です。

まず起きたままの状態で一回。次は「息を流してから話します」とつぶやいてから一回。最後は「語尾まで声を残します」と決めて一回。三つを比べると、通話が始まる前に軽くしておける部分が見えてきます。同じ一文で繰り返す方が、違う挨拶を色々試すより、朝の変化に気づきやすくなります。この録音は、通話の直前ではなく、身支度をしている段階で試すのがおすすめです。時間に余裕があるうちに状態を把握しておけば、通話開始までに整える余地が残ります。

出社日と在宅日で、見るべき場所は変わりません

声の出にくさは、出社しての対面、電話、オンライン会議と、状況によって違う顔をして現れます。それでも見るべき場所は変わらず、入り、息、喉、体、語尾、間です。

朝だから、在宅だからと理由を増やして原因を探すより、同じ一文で息の流れだけをまず確かめ、喉の力みだけを次に確かめ、語尾の質感が保たれているかだけを見ます。この二、三点に絞る方が、寝起きの短い時間には向いています。

見落としやすいのは、マイクをオンにする直前です。崩れの多くは話している間ではなく、通話に入る前にもう始まっています。急いで話そうとしている。息を止めている。肩が上がっている。この状態のまま声を出すと、通話が始まってから直すのは難しくなります。

声が重い朝は、気合ではなく朝の条件を見直します

いくら気合を入れても声が変わらない朝は、才能の問題ではなく、起き抜けの条件がずれていることが多いです。起きてすぐ急いで話している。息を吸いすぎて胸が固い。明るく取り繕おうとして喉が上がっている。語尾を聞き切らずに次の話題へ移っている。

朝一番から完成した声を出そうとしない方がうまくいきます。まず一文だけで、喉が軽いか、息が続いているかを録音で確かめます。調子の良かった朝のやり方をまねるより、毎朝同じ短い手順を繰り返す方が、結果的に安定します。前日にどれだけ声を使ったか、睡眠がどうだったかによって、必要な準備の量も変わってきます。毎朝一律のメニューをこなすより、その日の体の状態から逆算する意識を持つ方が続けやすくなります。

喉に痛みや強い違和感がある朝は、声出しの回数を増やさないでください。水を飲む、少し横になる、声量を落として話すという判断も、その日の対応のうちです。元気に聞こえる声を出すことと、喉の不調を押して通話に出ることは別問題です。無理をして通話に出るより、事前にひとこと伝えて声量を控えめにする方が、周囲にも伝わりやすくなります。

通話の数分前に、座ったまま整えます

通話が始まる数分前に、大きな声出しを挟む必要はありません。必要なのは座ったままできる短い確認です。息を止めていないか。顎に力が入っていないか。肩が上がっていないか。語尾まで声を保てる準備があるか。これだけで最初の挨拶の印象は変わります。

慣れてきたら、声を張ることより、画面の向こうにいる相手に届く位置を意識します。マイクに向かって声を押し出すのではなく、相手の少し手前に置くつもりで話すと、力まなくても聞こえ方は安定します。

「おはようございます」以外の一言でも確かめます

「おはようございます、本日もよろしくお願いします。」に慣れたら、「よろしくお願いします」「失礼します」のような、朝以外でもよく使う一言でも試します。まず起きたままの状態で声にし、次に一呼吸置いてから声にし、最後に語尾を残して声にする。三通りを録って聞き比べると、印象がどこで変わったかがはっきりします。

声を早く変えたい朝ほど、練習回数を増やしたくなります。ただ、条件がずれたまま回数だけ重ねると、喉に力を入れる癖が朝の定番になってしまいます。息、喉、体、語尾、間のうち、その日変わった一点だけを確認する方が、忙しい朝には向いています。

通話がつながった後の間まで気にかけます

朝の声のチェックは、声を出した瞬間だけで終わらせがちです。けれど本当に大事なのは、話し終えたあとに相手が言葉を受け取る間が残っているかどうかです。語尾が唐突に消えると、内容は問題なくても素っ気なく聞こえます。

最後の一言のあと、半拍だけ間を置いてみてください。その間に喉がまだ楽か、息が完全に切れていないか、肩がこわばっていないかを確かめます。普段の声は、特別な発声練習より、この短い一文を負担なく毎朝同じように出せることで安定していきます。慌ただしい朝ほど省略したくなる工程ですが、数十秒の確認が一日全体の話しやすさにつながります。

まとめ

リモートワークの朝に声が出なくて悩む時は、声質や性格だけで判断しない方がよいです。体が起きる前にマイクへ向かい、息が流れないまま話していないかをまず疑い、息の流れ、喉の力み、体のこわばり、第一声、語尾、間を朝の手順として順に確かめます。

練習は「おはようございます、本日もよろしくお願いします。」を起きたまま一回、一呼吸置いて一回、語尾を残して一回、録って並べるだけで十分です。声がどの段階で軽くなったかを聞き分ければ、朝の第一声の崩れどころが見えてきます。無理に元気を装うより、同じ条件を毎朝再現できる方を選んでください。

よくある質問

Q. リモートワーク 朝 声が出ないの原因は何ですか
声質だけでなく、声を出す前に息が止まること、喉で押すこと、体が固まることが関わります。
Q. すぐできる練習はありますか
短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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