ポッドキャストで声がこもる原因。マイク前で聞きやすく話す方法

ポッドキャスト収録で声がこもる、近すぎる、聞き取りにくい原因を、マイク距離だけでなく息と語尾から整えます。

奥津ユキ

収録した音声を聞き返すと、自分の声だけ丸くこもって聞こえることがあります。マイクの機種や距離を何度調整しても変わらない場合、原因は口の中だけで言葉を作り、息が前へ向かわないまま声を出していることにあるかもしれません。機材を買い替える前に、声の出し方そのものを確認しておく価値があります。自分の耳に届く自分の声が実際より低くこもって感じられるのは、多くの場合ただの体の中の聞こえ方の違いで、外に出ている声はもっと軽く前に出ていることがよくあります。

こもって聞こえるのは、マイクより先に息の向きが原因のことがあります

次の一文で確認します。

「今日は、声の整え方についてお話しします。」

マイクに向かって急いでこの一文を出すと、声は喉のあたりから丸く始まりやすくなります。反対に、声を出す前に体の前側へ小さく息を流してから話すと、同じ距離、同じマイクでも、言葉の輪郭がはっきりしてきます。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

こもった声は、マイクの性能だけの問題ではありません。息が前に向かっているかどうかで、同じ距離でも聞こえ方は変わります。

マイクに近づくことより先に、最初の音の始まる場所を見ます

声がこもると、多くの人はマイクに近づいて声量を足そうとします。「マイクを使う時は、マイクに頼らず自分の声もしっかり張るべきだ」と思われがちですが、実際はマイクに声を乗せればよく、そこまで張る必要はありません。近づきすぎて声量だけで補おうとすると、喉に力が集まり、次の言葉がさらにこもりやすくなります。

見るべきなのは、最初の音がどこで始まっているかです。喉の奥で始まる音は奥にこもったまま残り、息の流れに乗った音は前に出ていきます。声を出す前に口を開く準備をし、声を出さずに短く息を流し、その流れの上に一文を乗せる。この三段階に分けると、喉で押しているのか、息に乗っているのかの違いが分かります。

マイクの角度も、こもりの一因になります

マイクの真正面から声を出すと、破裂音や息の音が強く入り、それを避けようとして無意識に口を閉じ気味に話すことがあります。口の開きが浅くなると、言葉の輪郭がぼやけ、こもった音として録音されます。マイクを少し斜めに構え、普段通りの開き方で話せる位置を探すと、声を作り直さなくても録音の印象が変わることがあります。

部屋の反響が、声のこもりと混ざって聞こえることもあります

固い壁に囲まれた部屋で収録すると、声そのものは前に出ていても、反響が混ざって全体がこもって聞こえることがあります。この場合は声の出し方の問題ではなく、部屋の環境が原因です。カーテンや布を近くに置くなど、反響を減らす工夫をしたうえで、あらためて声の入りを確認すると、どちらが原因かを切り分けやすくなります。

息、喉、体を順に見ていきます

まず息です。声を出す前に息が止まっていると、第一声はこもった音になります。深く吸い込むより、短く吐く流れを先に作ってください。

次に喉です。喉で押す声は一瞬強く聞こえても、こもった響きのまま長くは続きません。大きくする前に、喉の奥を固めずに出せる小さな声を確認します。

最後に体です。首まわり、肩、顎の付け根が張っていると、息そのものは流れていても声は前に抜けていきません。立っている、あるいは座っている姿勢のまま足裏を床にしっかり預け、首の後ろを軽く引き上げてから話すと、喉だけに頼っていた支え方に気づきやすくなります。

同じ一文を、条件を変えて三回録音します

「今日は、声の整え方についてお話しします。」を、毎回違う言葉ではなく同じ一文で確認します。一回目は普段通りに読みます。二回目は声を出す前に短く息を流します。三回目は最後の語尾まで息を残す意識で読みます。この三つを聞き比べると、声量を上げなくてもこもりが減る場所が見つかります。

録音を聞く順番は、好き嫌いより先に決めておきます

録音を聞く時に好みで判断し始めると、そこで確認そのものが止まってしまいます。最初に注目するのは出だしの部分で、言葉がいきなり飛び出していないか、息を止めたまま喉だけで声を作っていないかを聞き取ります。続けて、事前に息を流してから読んだ回と、そうでない回の違いを比べます。仕上げに、語尾まで声が残っているか、途中で投げ出すように終わっていないかを確認します。

台本に集中するほど、口の動きが小さくなります

原稿を目で追いながら話すことに集中しすぎると、口の開閉が浅くなり、言葉が口の中にとどまったまま声になることがあります。これは緊張とは少し違い、注意が原稿に向きすぎて、口や顎の動きへの意識が薄れるために起きます。収録の合間に、口を大きく動かさなくても構わないので、開閉の感覚を一度意識し直すだけで、こもりが軽くなることがあります。あわせて、舌を軽く上顎につけて口を閉じておく姿勢を挟むと、話し出す瞬間の輪郭が変わることがあります。

短い言葉で確認すると、こもりの癖がはっきり出ます

「確認します」「お願いします」「ありがとうございます」のように、日常でよく使う短い言葉で同じ手順を試してください。短い言葉ほど、声の入りと語尾の癖がはっきり出ます。普段通り、息を流してから、語尾まで残す。この三回を録音すると、どこで声が変わったかが分かります。

場面が変わっても、確認する場所は変わりません

対面では声が小さくなる、オンラインでは暗く聞こえる、マイクの前では強すぎる、雑談では語尾が流れる。悩みの現れ方は場面ごとに違って見えても、確認する場所は入り、息、喉、体、語尾で変わりません。まず同じ一文で息が流れているかを見て、次に喉で押していないかを見て、最後に語尾まで同じ質感で残っているかを見る。この順番なら、どの場面にも持ち込みやすくなります。

中でも見落としやすいのが、声を出す直前の一瞬です。こもりの多くは、実際に話している最中ではなく、その手前の準備段階ですでに始まっています。気持ちが焦っている、息を無意識に止めている、肩がわずかに上がっている、喉を先にこわばらせている。こうした状態のまま第一声を出してしまうと、あとから修正するのが一気に難しくなります。

収録前は、長く発声するより小さく確認します

収録の直前に長々と発声練習を挟む必要はありません。息の流れが止まっていないか、顎に余計な力が入っていないか、肩がこわばっていないか、語尾まで言い切れる状態にあるかを、短時間でひととおり確認するだけで第一声の質は変わります。

慣れてきたら、声の大きさではなく言葉を置く位置を意識してください。自分の喉の中で鳴らすのではなく、マイクの向こう側、相手の手前に言葉を置く感覚です。強く投げるのではなく、息の流れで前に置くと、張らなくても聞こえ方が安定します。

ゲストと二人で話す時は、マイクの距離差も確認します

ゲストを招いて収録する場合、二人のマイクとの距離が違うと、片方だけこもって聞こえることがあります。自分の声がこもっていると感じたら、相手と同じ距離、同じ角度でマイクに向かえているかも合わせて確認してください。声の出し方だけでなく、環境の左右差もこもりの原因になります。

収録用のポップガードやスポンジも、口の開き方に影響します

ポップガードやウィンドスクリーンを近づけすぎると、それを避けようとして無意識に口の開きが浅くなる人がいます。機材と口の距離が近いこと自体は悪くありませんが、普段より口が閉じ気味になっていないかを一度確認してください。機材の存在に体が反応して、声の出し方が変わることがあります。

変わらない時は、声ではなく条件を疑います

何をやっても変わらないと感じる時、原因は声の素質ではなく、その日の条件のずれであることが多いです。話し出す前に気が急いている、息を吸い込みすぎて胸まわりが硬い、明るく高く聞かせようとして喉が上がっている、語尾を最後まで聞かずに切り上げている。こうした細かなずれが、聞こえ方全体を左右しています。

確認する時は一文だけで十分です。喉が軽く保てているか、息が途切れず続いているか、録音で言葉が前に出ているかを見てください。うまくいった日だけ長時間練習するより、毎回同じ短い条件で続ける方が、変化を再現しやすくなります。

喉に痛みや強い違和感を覚える日は、発声の量を増やそうとしないでください。水分補給、休息、声量を抑える判断も練習の一部です。声を育てることと、喉の不調を無視して押し切ることは、まったく別の話です。

話し終えた後の余白まで聞きます

声の練習では、出した瞬間だけを聞きがちです。けれど大切なのは、言い終えた後に相手が受け取りやすい余白が残ることです。最後の一音の後に半拍だけ黙り、その半拍で喉が苦しくないか、息が止まり切っていないかを確認してください。ここまで聞くと、声を出している最中だけでなく話し終わりの癖も分かります。

まとめ

ポッドキャストで声がこもって聞こえる時は、マイクや声質だけを疑う前に、口先だけで話し、息が前へ向かっていないかを見てください。息、喉、体、第一声、語尾の順番で確認すると、大きな声にしなくても言葉の輪郭がはっきりしてきます。マイクの角度や部屋の反響といった環境の要因も、あわせて切り分けてください。

練習は「今日は、声の整え方についてお話しします。」を録音するだけで十分です。普段通り、息を流してから、語尾まで残す。この三つを比べれば、マイク前でこもらず届く声に近づけます。

よくある質問

Q. ポッドキャスト 声がこもるの原因は何ですか
声質だけでなく、声を出す前に息が止まること、喉で押すこと、体が固まることが関わります。
Q. すぐできる練習はありますか
短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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