声がこもる時によくある質問。マイク・姿勢・喉の使い方を整理

声がこもる原因について、マイク、姿勢、喉、鼻声、録音確認で迷いやすい点をQ&A形式で整理します。

奥津ユキ

「自分の声がこもって聞こえるのはマイクのせいでしょうか、それとも話し方のせいでしょうか」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、原因は一つに絞れないことが多いです。この記事では、実際に寄せられる質問に答える形で、息・喉・体・語尾の四か所をどう見分けるかを整理します。

Q. Web会議になると急にこもって聞こえるのはなぜですか

対面では気にならなかった声が、マイク越しだと急にこもって聞こえるという相談はとても多いです。画面に意識を集中させるあまり口の開きが浅くなり、声を出す前に息が流れていない状態のまま話し始めていることが背景にあります。

練習に使う一文はこちらです。

「声が前に出ているか、録音で確認します。」

焦ってこの一文を口にすると、声はほぼ喉から始まってしまいます。反対に、話す前にひと呼吸だけ小さく息を通し、胸のまわりにゆとりを作ってから声を出すと、まったく同じ言葉でも入り方の印象は変わります。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

声の印象は、声色そのものだけで決まっているわけではありません。息を先に通してから声を乗せているか、喉に頼らず届けられているか、語尾まで支えが切れていないか。この組み合わせがそろって初めて、同じ言葉でも聞こえ方が変わります。

Q. マイクを高性能なものに変えれば直りますか

まず疑いたくなるのはマイクですが、私が最初に見るのは最初の音がどこで生まれているかです。マイクや声質だけを原因にしてしまうと、喉に力が集まり、次の言葉がさらに出しにくくなります。最初の音が喉の奥で始まると、その後の言葉も奥に残ったままになります。

Q. 姿勢を直すだけで変わりますか

姿勢は確かに関係しますが、背筋をただ張るだけでは声がかえって硬くなることがあります。見るべきは、その姿勢で息が流れているかどうかです。

Q. 喉を開けば声は前に出ますか

「喉を開ける」と聞くと喉仏を下げることだと思われがちですが、実際はその逆で、口の奥の上側を軽く持ち上げる感覚の方が声は前に出やすくなります。下を下げようとするほど喉が締まり、こもりが増すこともあります。まずは小さく息を流してから、「声が前に出ているか、録音で確認します。」を一度録音してみてください。

Q. 何から手をつければいいですか

一文だけを録音してください。入り、息、語尾の三つを聞けば、直す場所は見えやすくなります。

体の状態を、息・喉・体の順に確認します

まず息を見てください。話し始める前に呼吸が止まっていると、第一声はどうしても硬く立ち上がります。大きく吸い込むことより、短く吐いて流れを先につくることを優先してください。

二つ目は喉です。喉で押した声は瞬間的には強く聞こえても長く続きません。小さな声で詰まるなら、音量を上げても負担が増えるだけです。

三つ目は体です。首、肩、顎、舌の付け根のどこかがこわばっていると、息は動いていても声は前まで届きません。立っていても座っていても、足の裏で床の感触をつかみ、後頭部から背骨にかけての向きを整えてから声を出してみてください。それだけで、喉だけに頼っていた自分の癖に気づけるようになります。口から声を出さないでください、と言いたくなるくらい、実際は鼻の裏側から目の奥のあたりに軽く声を響かせるつもりで出す方が、口を大きく開けなくてもこもりにくくなります。

Q. 対面とオンラインで確認する場所は違いますか

結論として、声の悩みは場所や相手によって表れ方が変わるだけで、見るべき場所は共通しています。対面だと小さくなる人もいれば、オンラインだと暗く聞こえる人、雑談だと語尾が流れてしまう人もいますが、点検リストはひとつです。声の入り、息、喉、体、語尾、そして間の六か所を見ます。

シーンごとに違う対処法を増やそうとすると、かえって何を直しているのか自分でも分からなくなります。同じ一文を使って、はじめに息が流れているかどうかを確かめ、続いて喉で押していないかを確かめ、最後に語尾の質感が最初から最後までそろっているかを確かめる、という一本の流れにとどめてください。

Q. 話し終えた後まで気にする必要はありますか

声を確認する練習は、出している最中の音にばかり耳が向きがちです。けれど質問への答えとしてお伝えしたいのは、言い切った直後の余白こそ聞いてほしいということです。語尾がぷつりと切れると、話の内容自体は問題なくても、自信なさげな印象になってしまいます。

やり方は簡単です。最後の一音を出し切ったあと、半拍だけそのまま静かにしてみてください。その半拍のあいだに、喉が苦しそうにこわばっていないか、息をまだ止め続けていないか、肩が浮いていないかを感じ取ります。これができると、声を出している瞬間だけでなく、話し終えた後の癖まで拾えるようになります。

普段づかいの声は、特別な発声練習だけで変わるものではありません。短い一文を、いつも同じ条件で、無理なく繰り返し出せることの方がずっと大切です。

練習は三つの段階に分けます

最初の段階では、普段通りに一文を読みます。ここではまだ直そうとしません。普段の声の入り、息の止まり方、語尾の落ち方をそのまま残しておきます。基準がないと、後で何が変わったのか判断できません。

次の段階は、声を出す直前にひと吐きだけ息を通す練習です。深呼吸のように吸い込む必要はなく、むしろ吸いすぎるほど胸や肩が固まって、第一声が喉から始まってしまいます。軽く吐いてから同じ一文を出すだけで、入り方の印象が変わります。

最後の段階は、語尾を丁寧に扱う練習です。伸ばすということではなく、最後の一音を投げ捨てず、息がまだ通っている状態のまま終える、という感覚です。ここが整うと、同じ言葉でも受け取られ方がぐっと変わります。

Q. Web会議で崩れやすい時はどうすればいいですか

Q&Aでよくいただく相談は、五か所を同時に直そうとして余計に崩れてしまうケースです。息も喉も姿勢も語尾も間も、一度に手を入れると声は不自然な作り物になります。答えは、候補を一つだけに絞ることです。

その日の第一声が硬く感じるなら、息だけを見てください。話している途中で苦しくなるなら、喉だけを見てください。最後が弱く聞こえるなら、語尾だけを見てください。早口になりがちなら、重要語の手前の間だけを見てください。こうして毎回一点に絞ると、録音を聞いた時に変化がはっきり分かります。

回数を重ねることよりも、比べる条件をそろえることを優先してください。前回録った一文を、まったく同じ手順でもう一度録ってみることが判断材料になります。

Q. 発言の直前にできることはありますか

お答えすると、整った声をいきなり長い説明で試すのはおすすめしません。まずは日常でよく使う短めの挨拶語、たとえば「お願いします」「確認します」「ありがとうございます」あたりで、入り方・息・語尾の三点を確かめてください。

短い言葉で崩れずに声が出せるなら、そのまま長い説明にも応用できます。反対に短い言葉の時点で喉が詰まってしまうなら、長い説明ではもっと負担が増えると考えておいた方が安全です。

発言の直前にできることは多くありません。だからこそ、息を流してから話す、語尾まで声を残す、この二つだけを持っておいてください。

Q. 録音では何をメモすればいいですか

聞き返したあとに、細かくメモを取る必要はありません。見る観点は次の三つに絞ってください。出だしが慌てて飛び出していないか。話の途中で呼吸が滞っていないか。最後の音が力なく沈んでいないか。

声の印象は一度で完成するものではありません。毎回同じ条件で確認し、喉に負担がないか、息が前に流れているか、語尾が相手に届く位置で終わっているかを見てください。この基準を持っておくと、日常の声にも応用しやすくなります。

Q. こもる原因を一つに決めつけてもいいですか

決めつけない方がいいです。口が開いていない場合もあれば、息が前に流れていない場合もありますし、姿勢が丸まって喉の奥に音が残っていることもあります。

まず、録音して母音が残っているかを聞いてください。次に、息が止まっていないかを確認します。最後に、語尾が内側に落ちていないかを見ます。この順番で確認すると、何を直すべきかが見えやすくなります。

こもる声を直す練習では、口を大きく開けることだけに頼らないでください。口だけを動かしても、息が流れていなければ音は前に出ません。相手に聞き返される場面が多い人ほど、音量よりも輪郭を整えることが重要です。

Q. こもる原因は毎回同じですか

同じ人でも、疲れている日、寝不足の日、緊張している日で声のこもり方は変わります。毎回同じ練習だけをするより、その日の声を短く聞いてから調整する方が合っています。

朝は息が浅くなりやすく、夕方は喉で押しやすくなります。緊張している時は、第一声が奥に引っ込みやすくなります。だから、録音で母音、息、語尾を順に確認してください。原因を分けると、練習も無駄に増えません。

Q. こもりがなかなか取れない時はどうすればいいですか

自分では声が出ているつもりでも、相手には近くでこもって聞こえることがあります。録音する時は、スマートフォンを少し離して置き、言葉が前に届いているかを確認してください。

近距離の録音だけだと、音量でごまかせてしまうことがあります。少し距離を置くと、母音の抜け、息の流れ、語尾の残り方が分かりやすくなります。こもる声を整えるには、自分の耳ではなく、相手に届く距離で聞くことが大切です。

Q. 最後の確認はどのくらいの分量が必要ですか

長々と話し込む必要はありません。実際の場面で使う一文をたった一回録り、出だし・息・語尾の順にチェックすれば足ります。取り繕った声を残すより、いつもの自分に近い状態で録っておくほうが意味を持ちます。

そこで直すべき点が一つでも見つかれば、その日の分としては十分な収穫です。あとは次に似た場面が来たとき、同じ手順を再現できるかどうかを確かめてください。声は一度の練習で仕上がるものではなく、短い点検を積み重ねながらじわじわ安定していくものです。

まとめ

声がこもって聞こえて悩む時は、声質や性格だけで判断しないでください。聞こえ方だけを見て、息・喉・体・語尾を分けて確認していないことが起きていないかを見て、息、喉、体、第一声、語尾、間の順で整えます。

練習は「声が前に出ているか、録音で確認します。」の一文を録るだけで足ります。まずいつもの調子で、次に息を先行させて、最後に語尾を残す意識で、それぞれ録って並べて聞いてみてください。三つの違いを比べれば、どこで音がこもっているのかが自然と見えてきます。原因をひとつずつ切り分け、次に何を試すか自分で選べる状態をつくるには、大きな声を出すことよりも、毎回同じ条件で再現できる声を手元に残しておくことのほうが近道です。

よくある質問

Q. 声がこもる よくある質問の原因は何ですか
声質だけでなく、声を出す前に息が止まること、喉で押すこと、体が固まることが関わります。
Q. すぐできる練習はありますか
短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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