朝礼で自分の当番が回ってきて、短い一言を伝えるだけなのに声が小さく沈んで届かないと感じることがあります。全員が輪になって立ち、進行役に名前を呼ばれた瞬間だけ視線が集まるという独特の緊張感が、朝礼の声を余計に小さくします。声質を変えようとする前に、声を出す数秒前に体で何が起きているかを、実際に声を出して確かめるところから始めます。
朝礼で使う一言を、その場で録音して比べます
次の一文を、朝礼の当番で言うつもりで声に出してください。
「本日、欠席者はおりません。以上です。」
まずはいつも通りのトーンで一度録音します。次に、手のひらで軽く顎の下を押さえ、顎が上に逃げないようにしたまま、声を出す直前に短く息を一度だけ吐いてから、同じ一文をもう一度録音します。二つを聞き比べると、多くの場合、後者のほうが出だしの音がやわらかく、最後まで声が残っていることに気づきます。この違いを生んでいるのは声量ではなく、声を出す前の準備です。一回ごとの差はわずかでも、聞き比べると自分でもはっきり分かる程度の違いが出ます。
小さく聞こえる原因は、声量ではなく入り方です
一言だけなのに小さく、寝起きのように自信なさげに聞こえる時、たいていの人はまず声量を足そうとします。ですが、短い発言だから準備はいらないと決めてかかって声を出し始めると、そこで喉に力が集まり、続く言葉がかえって出にくくなります。見るべきは声の大きさではなく、最初の一音がどこで作られているかです。第一声が喉の奥で作られると、そのあとの言葉も奥にこもったままになり、聞いている側には「聞き取りにくい」というより「自信がなさそう」という印象が先に立ちます。
声が小さいのはお腹を膨らませたりへこませたりする呼吸ができていないからだと考える方が多いのですが、実際に関わっているのは、常に軽くお腹に圧をかけ続けられているか、息を吐き出すスピードが保てているかのほうです。朝はこの圧がとくに抜けやすいので、声量より先にこの二点を疑ってみてください。腹圧は吐くときだけでなく、吸うときにも抜かないことがポイントです。吸う瞬間に圧が抜けると、話し始めた最初の一音がその抜けた状態のまま出てしまいます。
朝は寝ている間に体全体の緊張がゆるみ、腹圧をかける筋肉もいったん休んでいる状態です。起きてから一、二時間のうちは、意識してもすぐには戻らないことがあります。だからこそ、朝礼の直前に「声を張る」ことより先に、腹圧を軽く入れ直す数秒を取ったほうが結果につながります。息のスピードも同じで、ゆっくり吐こうとするほど声は失速し、短く速く吐き出すつもりで話し始めたほうが、一言の中で声が持ちこたえます。
朝礼のような短い一言ほど、第一声と語尾が目立ちます
長く話す場面であれば、多少出だしが硬くても、話しているうちに声は整っていきます。ところが朝礼の一言はそこまでの長さがないので、出だしと締めくくりの印象がそのまま全体の印象になります。声が小さい人は、最初の音だけでなく、最後の一音も同じように消えやすくなっています。周りが次の人の当番に気を取られ始めるタイミングと、語尾が消えるタイミングが重なると、発言そのものがなかったことのように流れてしまいます。
「以上です」まで、声を置いたまま終える感覚を持ってみてください。伸ばす必要はなく、最後の音がまだ息に乗っている状態で言い切ります。語尾が残ると、一言だけの報告でも聞き手に届いた印象になります。朝の体はまだ起き切っていないこともあるので、大声で起こそうとせず、先ほどのように息を流してから一文を出す方が、朝礼の声には合います。
姿勢が崩れると、届く声も引っ込みます
声が小さく感じられる原因は、喉だけとは限りません。朝礼で背中を丸め、顎が下がった姿勢のまま声を出すと、息は流れていても声が前に出ません。手元の資料や進行役の顔色をうかがって視線を落とすと、それだけで顎が下がり、喉のスペースが狭くなります。足の裏を床にしっかりつけ、首の後ろを長く保ってから声を出すと、喉だけで支えていた癖に気づきやすくなります。
このとき、手のひらで軽く顎の下を押さえ、顎が上に逃げないようにしたまま先ほどの一言を言ってみると、喉で押す力みが逃げて、お腹の圧だけで声を支える感覚がつかみやすくなります。声を大きく届けようとして喉で押すと、一瞬だけ強く聞こえても、次の言葉でかすれたり詰まったりします。まずは、小さな声のままで詰まらずに言い切れるかを確かめてください。詰まらずに言えるようになってから、初めて声量を足す段階に進みます。
最終確認では、同じ一言を三段階で使います
本番前の仕上げに使うのは、長い練習ではありません。次の一言を、条件を変えて三回だけ録音します。
「本日、欠席者はおりません。以上です。」
一回目はいつも通りの声で。二回目は声を出す前に短く息を一度だけ吐いてから。三回目は「以上です」の最後の一音まで声を置いたまま終える意識で。三つを聞き比べると、どこで印象が変わるかがはっきりします。回数を増やすより、同じ条件で聞き比べることのほうが手がかりになります。三回目の録音がいちばんしっくりくると感じたら、その感覚を朝礼まで持ち越してください。
本番の直前は、短い言葉で確認します
練習した声を、いきなり長い説明に使おうとすると、また喉に戻ってしまうことがあります。まずは「お願いします」「失礼します」「よろしくお願いします」のような、朝礼の前後でよく使う短い言葉で、入り、息、語尾を確かめてください。朝礼が始まる前、自分の番が回ってくるまでの数十秒でできる範囲で十分です。
短い言葉で声が整えば、報告の一言にも移しやすくなります。反対に、短い言葉の時点で喉が詰まるなら、一文全体でも同じ場所で詰まります。短い言葉ほど、その日の声の癖がそのまま出ます。録音した自分の声を聞くと、好きか嫌いかに意識が向きやすくなりますが、朝礼の一言に必要なのは好みの声ではなく、寝ぼけて聞こえない、相手に届く声です。
順番が回ってくる前に、体の準備を先に済ませます
朝礼は自分の番が来るまで、他の人の発言を聞きながら立っている時間があります。その待ち時間をぼんやり過ごすと、いざ名前を呼ばれた瞬間に体がまだ起きていない状態のまま声を出すことになります。順番が近づいてきたら、足の裏の感覚を確かめ、肩の力を軽く抜き、短く息を一度吐いておきます。これだけで、呼ばれてからの出だしがずいぶん変わります。
前の人の発言が終わってから自分が話し始めるまでの一、二秒を、慌てて埋めようとしないことも大切です。その一瞬に短く息を整える余白を持てるかどうかで、第一声の入り方が変わります。名前を呼ばれてすぐに話し始めなければと焦る気持ちが、いちばん喉を締める原因になります。呼ばれてから一拍置いて話し始めても、朝礼の流れが乱れることはありません。
待ち時間にできることはもう一つあります。手のひらで軽く顎の下に触れ、力が入っていないかを確かめておくことです。緊張していると、自分でも気づかないうちに顎に力が入り、話し始める前から喉のスペースが狭くなっていることがあります。触れて確かめるだけで、その力みに気づけます。
次の朝礼では、直す場所を一つだけ決めておきます
朝礼の声で失敗しやすいのは、息も、喉も、姿勢も、語尾も、一度に直そうとすることです。全部を同時に変えようとすると、声はかえって作り物のように聞こえます。まずは一つだけ、崩れている場所を選んでください。
第一声が硬いと感じるなら息だけを見ます。声が喉に詰まる感覚があるなら姿勢だけを見ます。最後の「以上です」が弱いと感じるなら語尾だけを見ます。直す場所を一つに絞ると、次の朝礼で変化を確認しやすくなります。
明日の朝礼で使う一言は、もう決まっています。声を張り上げるのではなく、いつもと同じ条件でその一言を出せるかどうかを、まず確かめてみてください。
一度うまくいっても、翌日にはまた元の入り方に戻ることがあります。そのたびに落ち込む必要はありません。朝の体調や前日の疲れによって、同じ準備をしても結果が少しずつ違うのは自然なことです。大切なのは、うまくいかなかった朝も同じ手順に戻れることです。息を流す、姿勢を整える、語尾を残す。この三つのうち、その日崩れていた場所だけを次の朝礼で見直せば十分です。
よくある質問
- Q. 朝礼 声が小さいの原因は何ですか
- 声質だけでなく、声を出す前に息が止まること、喉で押すこと、体が固まることが関わります。
- Q. すぐできる練習はありますか
- 短い一文を決め、普段通り、息を流してから、語尾まで残す形で録音して比べてください。
- Q. 喉に違和感がある時も練習してよいですか
- 痛みや強い違和感がある時は無理に声を出す練習を増やさず、休息や専門家への相談も考えてください。
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詳しいプロフィール →声が小さい・通らない人へ。大きい声を出さずに改善する方法
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