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謝罪の電話で声が震える原因。言い訳に聞こえない第一声の整え方

謝罪の電話で声が震える、早口になる、語尾が弱くなる原因を、謝罪の言葉より先の息と間から整えます。

奥津ユキ

番号を押す指がすでに冷たくなっている。そんな状態でかけた謝罪の電話は、つながった瞬間に声が揺れます。この震えが気持ちの弱さの証拠なのかどうかは、悩むより先に確かめられます。

足の親指を床に置き、第一声の揺れの出方を確かめる

電話をかける姿勢になり、「お電話失礼します。先ほどの件、私の確認が足りませんでした」と言ってみてください。一度目は足元を意識せずに話します。二度目だけは、利き手と反対側の足の親指の腹が床に触れている感覚を保ちながら、同じ文を言います。座る位置、声量、速さ、高さ、言葉、息の量は揃え、変えるのは片方の親指を床に置く意識だけにしてください。強く踏み込む必要はありません。足裏全体を固めるほど踏みしめず、親指の接触だけを感じる程度にします。

二度目に、最初の「お」を出す瞬間に胸がせり上がる感じや、声が細かく跳ねる感じが小さくなるなら、呼びかけの緊張が足元へ分散しています。成功の目印は低い声になることではなく、最初の一語が喉に引っかからず、そのまま確認不足を述べられることです。差が出なければ、足元の安定とは別に、失敗を予測した瞬間に身体全体を固くしているという別の原因へ目を向けてください。

コール音が鳴っている間に、すでに体は身構えています

相手が出るまでの数秒、多くの人はこの時間を「まだ何も起きていない」と思っています。ところが実際には、この数秒の間に呼吸は浅くなり、肩は少しずつ持ち上がり、第一声を出す土台がすでに崩れ始めています。

声が震えると、メンタルが弱いからだと思われがちです。ですが私が見てきた限り、メンタルだけの話であることはあまりありません。息の出し方や、声帯まわりの筋肉の使い方が整っていないだけということの方が多いと感じています。気持ちを強く持とうとするより、体の使い方を変える方が、震えには近道です。コール音が鳴っている間は、身構えるための時間ではなく、息をゆっくり吐いておくための時間として使ってください。

震えを気合いで止めようとすると、逆に硬くなります

震えている自分の声を聞かれたくなくて、一気に話し切ろうとする人がいます。ですが、震えを力で抑え込もうとするほど喉には余計な力が入り、続く言葉はさらに詰まりやすくなります。

見るべきは、最初の音がどこで生まれているかです。喉の奥で押し出された音はそのまま奥にこもり、息に運ばれて出た音は自然と前に流れます。先ほどの一文を口に出す前に、まず口の形だけを作り、声にせず短く息を通し、その流れに言葉を乗せてみてください。喉で押しているか、息に運ばれているかの違いがはっきり分かります。

もうひとつ知っておいてほしいのは、多少の震えが残っていても、謝罪が台無しになるわけではないという点です。相手の印象を本当に悪くするのは震えではなく、震えを隠そうとした結果の早口です。詰め込むように話すと、電話の向こうでは言い訳を並べているように聞こえます。震えを消すことより、急がないことを優先してください。

崩れる場所は、おおむね三つに分けられます

一つ目は息です。声を出す前に呼吸を止めていると、第一声は硬いまま立ち上がります。大きく吸い込むよりも、先に短く吐く感覚を作ってください。吸いすぎると肩が浮き、体全体が固まってしまいます。

二つ目は喉です。喉に力を込めた声は瞬間的には強く聞こえても、すぐに苦しくなって続きません。頭を下げながら話す謝罪の電話だからこそ、無理に声量を上げるのではなく、脱力したままでも通る小さな声を探してみてください。声帯は締めて我慢するものではなく、前に伸ばすようなイメージを持つ方が、同じ大きさの声でも震えにくくなります。あわせて、話す前のひと呼吸で軽くお腹に圧をかけ、話している間も、次の言葉を吸う瞬間も、その圧を抜かずに保ってみてください。吐くときだけでなく吸うときも支えを緩めないことで、喉に頼らなくても声が持ちこたえやすくなります。

三つ目は体の強張りです。首筋や肩、顎の付け根、舌の根元に力が入っていると、いくら息を流していても声は前に届きにくくなります。座っているなら足の裏をしっかり床につけ、首を一度だけゆっくり回してから話し始めると、喉だけで支えようとしていた癖に気づきやすくなります。

一つの文を、条件だけ変えて三回試します

この練習では、先ほどの一文以外の言葉は使わないでください。言葉を変えると、変化の原因が声なのか言葉選びなのか区別できなくなるからです。

一回目は普段どおりに読みます。二回目は声にする前に短く息を先に流します。三回目は語尾の最後の一音まで息を残す意識で読みます。この三つを聞き比べると、無理に張らなくても届き方が変わる瞬間が見つかります。

聞き返すときに大事なのは、上手か下手かではありません。出だしが急いでいないか、途中で息が途切れていないか、語尾が落ちていないか。この三点だけを見てください。

練習する場所は、空いている会議室や外の車の中など、人の耳を気にせず声を出せるところを選んでください。誰かに聞かれるかもしれないと思いながらの録音は、それ自体が緊張の条件になり、比べたい差が見えにくくなります。

受話器を取る直前は、確認だけで十分です

電話をかける寸前になって長い発声練習を始めても効果は薄いです。そのかわりに、呼吸が止まっていないか、肩や顎の力が抜けているか、語尾まで言い切れる状態かという三点だけをさっと確かめてください。

慣れてきたら、声量ではなく言葉を置く距離を意識してみてください。自分の喉の中で鳴らそうとするのではなく、電話口の相手の耳元にそっと届けるようなイメージです。勢いよく投げつけるより、息に乗せて静かに近づける。これだけで、無理に張らなくても届く声に変わっていきます。

それでも震えが収まらない日は、たいてい気持ちの弱さではなく手順のどこかが崩れています。話し出す前に焦っている、息を吸い込みすぎて胸が張っている、最後の音を聞かずに次へ進んでいる。こういう小さなずれの積み重ねが聞こえ方を変えています。うまくいった日だけ長く練習するより、短くても同じ条件を毎回繰り返す方が再現しやすくなります。喉に痛みや違和感がある日は無理をせず、休息と水分を優先してください。

相手の返事を待つ間の呼吸も整えておいてください

謝罪の一言を伝えた直後、相手の反応が返ってくるまでの数秒間、身構えたまま無言になる人がいます。その間に肩が上がったり、次の言葉を先回りして準備したりすると、続く一言の出だしがまた硬くなります。

相手が話している間は、次の言葉を考えるより先に、ゆっくり息を吐いておいてください。そうしておけば、相手の話が終わった瞬間にあわてて息を吸い直さずに済み、続く一言も落ち着いた入り方になります。謝罪の電話は一往復では終わらないことが多いので、最初の一言だけでなく、やり取りの合間の呼吸まで含めて整えておくと、通話全体の印象が安定します。

語尾のあとの静けさも、声の一部です。語尾が急に消えると、内容が正しくても頼りない印象になります。反対に語尾まで息が残っていれば、短い言葉でも落ち着いて伝わります。最後の一音の後に半拍だけ黙り、その半拍の間に喉が苦しくないか、息が途中で切れていないかを確かめてください。

かける時間帯をこちらで選べるなら、あわただしい時間を避け、通話のあとに数分の余白がある時間にかけてください。次の予定に追われながらの謝罪は、それだけで早口の条件がそろってしまいます。切ったあとの振り返りも、うまく謝れたかどうかで採点しないでください。聞き直すのは出だしと語尾の二か所だけで、次の電話に持ち越すのは反省ではなく、揺れなかった時の息の条件です。

次にダイヤルする時は、コール音の間のひと呼吸から始めてください

謝罪の電話で声が震えて悩むなら、性格のせいにする前に、謝らなければという焦りで息が浅くなっていないか、間を置けずに言葉を詰め込んでいないかを確認してください。息、喉、体、第一声、語尾、間という順番で見ていくと、崩れている場所がはっきりします。

「このたびはご迷惑をおかけし、申し訳ありません。」を、かける直前にもう一度だけ録ってみてください。息を先に流した一本の出だしが揺れずに立っていれば、その声は電話の向こうでも再現できます。震えを完全に消す必要はありません。揺れても語尾まで言い切れる一文をひとつ持ってダイヤルすれば、謝罪の電話の入り方は今日から変わります。

よくある質問

Q. 謝罪の電話で声が震えたら、誠意がないと思われますか?
震え自体が誠意の有無を決めるわけではありません。緊張で息が細切れになり、筋肉が固まると起こります。私は最初の謝罪を短く区切り、吐く息を止めずに言葉へ乗せます。
Q. 謝罪の第一声は低い声で言った方が落ち着いて聞こえますか?
無理に低くすると、喉を押し下げて重く不自然になることがあります。私は出しやすい高さで「申し訳ありません」を言い、語尾を弱く消さず、最後まで息を保ちます。
Q. 電話で謝る前に深呼吸を繰り返すと震えは収まりますか?
吸うことだけを増やすと、かえって息を抱え込みやすくなります。私は吸気よりも静かな吐き出しを先に行い、腹部の圧を急に抜かない状態で受話器を取ります。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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