YouTube・配信で聞き取りやすい声。マイク乗りとこもりを直す

YouTube撮影で声がこもる、聞き取りにくいと言われる人へ。台本読みとフリートークの違い、テイク重ねの喉消耗から整えます。

奥津ユキ

撮影した動画を見返すと、自分の声だけくぐもって聞こえる、コメント欄で「聞き取りづらい」と言われる。マイクを買い替えても変わらないなら、原因は機材より、カメラのレンズ一つに向かって一人で話し続けるという状況そのものにあるかもしれません。目の前に相槌を打つ相手がいない収録は、思っている以上に口の開け方や声の出し方を変えてしまいます。

レンズに向かって一人で話すと、口の動きが小さくなります

人と対面で話すときは、相手の表情やうなずきに合わせて自然と口が動きます。ところがカメラのレンズだけを見て話すと、反応が返ってこないぶん、口の開閉が無意識に浅くなっていく人が多くいます。声を張っているつもりでも、口の中でこもったまま外に出ていかない。これは滑舌の良し悪しではなく、聞き手がいない環境で口の動きが小さくなる、という誰にでも起きる現象です。

顎を固定したまま「い」の形で横に開いておくことを意識するだけで、口の中で丸くなっていた音が前に出やすくなります。縦にパカパカ動かす大きな口より、横に開いたまま止めておく方が、聞き取りやすさにはよほど効きます。

台本読みとフリートークで、こもり方が変わります

台本を用意して読む動画と、思いついたことをそのまま話す動画とでは、声の崩れる場所が違います。台本を目で追っているときは文字を追うことに意識が向き、口の開閉がさらに浅くなりがちです。反対にフリートークでは、勢いに任せて早口になり、語尾が消えていく人が増えます。

「今日は、〇〇のやり方を紹介していきます」

この一文を、台本を見ながら読む場合と、カメラに向かって自然に話す場合の両方で録音してみてください。読み上げるときは特に、文字を目で追いながらでも口の開き方を変えないことを意識すると、こもりが軽くなります。

冒頭のつかみで力んでしまう問題

動画の最初の数秒は視聴者が離れるかどうかを左右するため、多くの人がここで元気よく話そうとして声を張り上げます。ですが、勢いをつけようと喉から声を押し出すと、かえって音がこもり、こもった元気さとして届いてしまいます。

必要なのは声の大きさではなく、息のスピードです。自転車と同じで、ゆっくり漕ぐとふらついて安定しませんが、スピードを上げると自然と体が起きて前に進みます。声も同じで、勢いは音量でなく息の速さで作ると、喉を締めずに冒頭のつかみを出せます。

尺が伸びるほど、声が単調にこもっていきます

10分、20分と話し続ける動画では、編集でカットをつなげば違和感なく仕上がりますが、収録時の声そのものの疲れは編集では戻せません。後半になるほど口の開きが小さくなり、抑揚もなくなっていくのは、体力ではなく息を吸い直す間隔が本人も気づかないうちに詰まっていくためです。

長尺の収録では、区切りのいいところで一度だけ短く息を吐き、口を意識的に大きめに動かし直す時間を挟んでください。全部を通しで頑張るより、途中で一度リセットする方が、最後まで同じ聞こえ方を保てます。

同じ台詞を撮り直すたびに、喉の消耗が積み重なります

サムネイル用の一言や、決めゼリフを何度もテイクを重ねて撮る場面では、毎回同じテンションを声で作り直そうとして、喉に力が入りやすくなります。1テイク目はよくても、5テイク目、10テイク目になるほど、喉で押した硬い声に変わっていくことがあります。

テイクごとに声を作り直すのではなく、腹のあたりに圧をかけ続ける感覚を保ったまま繰り返してみてください。前にスライムをつまみ出すような感覚を、声を出すときも次のテイクを待つ間も抜かずにいると、何度撮り直しても同じ声の質を保ちやすくなります。

マイクの機材より先に、顎の固定を見ます

ピンマイクでも指向性マイクでも、口元との距離や角度が毎回微妙に変わると、こもり方も変わってきます。ですが機材を調整する前に確認したいのは、話しているあいだ顎がパカパカ動いていないかです。顎が上下に動くと、マイクとの距離が発話のたびに変わり、音の入り方が安定しません。

顎を固定し、横に開いた状態を保ったまま話す練習を、収録前に一度試してください。マイクの位置を毎回いじるより、口の動かし方を安定させる方が、聞き取りやすさへの効果は大きくなります。

屋外・移動しながらの撮影は、声を張り上げる前に息を見ます

外を歩きながら撮影する動画や、周囲の音が大きい場所での収録では、負けじと声を張り上げてしまいがちです。ですが喉だけで対抗しようとすると、すぐに枯れてしまい、映像の後半に向かうほど聞き取りにくい声になっていきます。

大きくするのではなく、息を前に流す速さを上げる意識に切り替えてください。周囲の音に負けない声は、喉で作るものではなく、息のスピードで前に届けるものです。

コメントを読み上げる場面は、声を作り変えなくて大丈夫です

視聴者コメントを紹介する動画では、コメントごとに声色を演じ分けようとする人がいます。驚いた声、笑った声、真面目な声と切り替えるうちに、喉に無理な力が入り、後半になるほど声が枯れていく人を見かけます。

コメントは声を作り替えて読むものではなく、間の取り方で表情をつけるものです。読む前に一拍置く、読み終わったあとに少し間を空ける。この間の使い方だけで、声色を演じ分けなくても十分に表情豊かに聞こえます。喉を使って感情を作るより、間で感情を伝える方が、何本撮っても喉が持ちます。

週に何本も撮るなら、チャンネルの声のトーンを一本化します

投稿頻度が高いチャンネルほど、収録するたびに声のトーンが微妙に変わっていることに気づきにくくなります。ある回は元気に張り、別の回は淡々と話す。視聴者からすると、この振れ幅が「聞き取りにくい回がある」という印象につながることがあります。

毎回ゼロから声のトーンを決めるのではなく、冒頭のあいさつ一文を決めておき、収録前にその一文だけを同じ高さ・同じ強さで読んでから本編に入ると、回ごとのトーンのばらつきが減ります。声質を変えるのではなく、入り口の一文を揃えることが、チャンネル全体の聞きやすさにつながります。

ライブ配信は、編集で直せないぶん息の準備が要ります

録画した動画は編集でつなぎ直せますが、ライブ配信は喋った声がそのまま届きます。コメントに反応しながら喋り続ける配信では、次に話す内容を考えながら声を出すため、息を吸うタイミングが浅くなり、知らないうちに喉だけで押した声になっていく人が多くいます。

配信中に声が硬くなってきたと感じたら、次のコメントを読む前に一度だけ短く息を吐き直してください。編集で拾ってもらえない以上、その場でこまめに整える方が、配信の最後まで聞き取りやすい声を保てます。

撮影後の見返しは、好き嫌いではなく三点を聞きます

自分の声を映像で聞き返すと、多くの人が違和感を覚えます。これは声が悪いからではなく、自分の中で聞こえている声と、カメラのマイクを通して外に届く声が、聞こえ方として別物だからです。誰の声でもこの違いは起きます。

見返すときは、好き嫌いで判断するのではなく、冒頭の一言で喉が力んでいないか、話が長くなるにつれて口の動きが小さくなっていないか、テイクを重ねた場面で声が硬くなっていないかの三点を確認してください。この三点さえ整っていれば、声質そのものを気にする必要はほとんどありません。

今日、次の撮影の前に試すこと

長い練習は不要です。次に撮影する前に、決めゼリフか冒頭のつかみの一文を、顎を固定して横に開いたまま一度読んでみてください。そのあと、いつも通りの喋り方でもう一度読み、二つを聞き比べます。

顎を固定したときの方が、音の輪郭がはっきりして前に出ていると感じられるはずです。この違いを体に一度覚えさせておくと、本番の撮影でも同じ感覚を思い出しやすくなります。声を出す量を増やす前に、口の開き方を整えることから始めてください。

体調に違和感がある、声のかすれが何日も続くといった場合は、無理に撮影を重ねようとせず、医師や専門家に相談することも考えてください。

まとめ

YouTubeや配信で声がこもって聞こえるのは、マイクの性能だけの問題ではありません。レンズに向かって一人で話すことで口の動きが小さくなること、台本読みとフリートークで崩れ方が違うこと、テイクを重ねるほど喉に力が入ることが重なって起きています。

顎を固定して横に開く、冒頭は声量でなく息のスピードで作る、テイクの合間も体の支えを抜かない。この三つを次の撮影から試してみてください。

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よくある質問

Q. YouTube撮影で声がこもるのはマイクのせいですか
機材だけが原因とは限りません。カメラに一人で向かって話すことで、口の開け方や顎の動かし方が普段と変わっていることがよくあります。
Q. 撮り直しを何度もすると声が疲れるのはなぜですか
同じテンションを毎回作り直そうとして喉で押してしまうためです。テイクごとに力を入れ直すより、体の支えを保ったまま繰り返す方が疲れにくくなります。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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