忘年会・宴会の幹事進行の声。ざわつく中で場を回す
忘年会や宴会の幹事を任され、開宴から中締めまで何度もマイクを持つうちに声が枯れる人へ。ざわつきに負けず終盤まで通す声の使い方を解説します。
奥津ユキ
開宴の挨拶を終え、余興を進行し、ビンゴ大会を回し、締めの挨拶をする頃には、もう声がかすれている。忘年会や宴会の幹事を任されると、乾杯の一言だけでなく、二、三時間の間に何度もマイクを持つことになります。ここでは、その一晩を通して声を保つための考え方を整理します。
なぜ幹事の声は、会の終盤ほど通らなくなるのか
宴会は時間が経つほど会場のボリュームが上がります。開宴直後は静かに聞いていた参加者も、お酒が進むにつれて会話が大きくなり、笑い声も重なっていきます。幹事はその都度、声を張って注意を引き戻そうとしますが、張るたびに喉を締めて押し出す声になり、次に話すときにはさらに力を入れないと届かなくなるという悪循環に陥ります。終盤で声がかすれるのは、根性や体力の問題ではなく、この繰り返しの中で喉を締め続けていることが原因です。
長時間話して枯れる人は、ほぼ喉の締めすぎです
長時間話す仕事で声が枯れる人を見ていると、共通しているのは喉を締めすぎていることです。幹事のように何度もマイクを持つ役割も同じで、毎回声を張り直すこと自体が喉に負担をかけます。効くのは、横隔膜のあたりを前にそっとつまむような感覚を、声を出していないときも保ち続けることです。話すたびに力を抜いてまた入れ直すのではなく、開宴から中締めまでこの感覚を途切れさせないでおくと、同じ回数マイクを持っても喉の負担はかなり変わります。乾杯の一言だけを整える準備と違い、幹事は何度も声を出す前提で体の使い方を決めておく必要があります。
開宴の第一声を、その日いちばん通る場所にします
幹事の声で最初に印象が決まるのは、開宴の一言です。
「皆様、本年も一年間大変お世話になりました。ただいまより忘年会を開宴いたします」
会場がまだざわついている中でこれを喉から絞り出すと、最初の一言目が届かず、開宴の合図自体が曖昧になります。話し出す前に一度だけ息を吐き切り、お腹に圧をかけたまま吸い直してから話し始めると、同じ言葉でも最初の一音が立ち上がり、ざわついた会場の耳を引き戻しやすくなります。ここで無理に声を張らないことが、後の余興やビンゴの進行を楽にします。
余興やビンゴ大会で沸く歓声に負けない声
余興の紹介やビンゴ大会の進行では、参加者の歓声や拍手が何度も起こります。ここで急に声を張り上げて割り込もうとすると、聞き手にはむしろ驚きとして伝わり、場が一瞬冷めてしまうことがあります。必要なのは、急に大きくすることではなく、腹に圧をかけたまま一定の太さの声を保ち続けることです。歓声が収まりかけたタイミングで、その声のまま次の案内に入ると、無理に張らなくても会場の耳は自然とこちらへ戻ってきます。
「さあ、いよいよビンゴ大会もリーチが増えてまいりました」
この一言を、歓声にかき消されまいと喉で押すのではなく、腹圧を保ったまま息に乗せて出すことを意識してください。ビンゴの番号を読み上げる場面でも同じで、番号ひとつひとつを強く叫ぶより、一定の太さで淡々と読むほうが、かえって参加者の耳には残ります。
ざわつき始めた瞬間に、注意を引き戻す一言
余興の合間、参加者同士の会話が再び大きくなり始める瞬間があります。ここで幹事が焦って早口になると、案内の言葉自体が聞き取りにくくなります。
「皆様、そろそろお時間となりましたので」
この一言は、急いで詰め込むよりも、語尾の一音まで息を残して置くほうが、ざわつきの中でも輪郭が残ります。声を大きくするより先に、この一言をゆっくり置けているかを確かめてください。会場が広く、テーブルが複数に分かれている場合は、声を張るより先に、話し始める位置を会場の中央寄りに移動するだけでも届き方が変わります。
締めの挨拶で声がかすれてしまうときの対処
会の終盤、中締めの挨拶に差しかかる頃には、多くの幹事が声のかすれを感じ始めます。ここで無理に声を張ろうとすると、余計に喉を締めてしまい逆効果です。対処は、締めの一言に入る前に一度だけ肩を上げずに息を吐き切り、横隔膜のあたりをつまむ感覚を思い出してから話し始めることです。声量を戻そうとするのではなく、支えの感覚を戻すことを優先してください。「本日は誠にありがとうございました」という最後の一言も、かすれたまま押し切るのではなく、語尾の一音だけでも息を残せるかどうかで、締めくくりの印象が変わります。
受付や会費の徴収でも、声はすでに使われ始めています
幹事の仕事は開宴の挨拶から始まるわけではありません。受付で会費を受け取り、席次を案内する時点から、すでに声を使い続けています。この段階で一人ひとりに大きな声で対応していると、開宴前にすでに喉が温まりすぎてしまい、本番の余興やビンゴで声を張るころには疲れが出やすくなります。受付では声量を抑えめにして、必要な案内だけを短く伝えるようにしておくと、開宴後に声を使う体力を残せます。
余興を頼んだ相手に急にマイクを振り返される場面
進行の途中で、余興をお願いした相手から「幹事さんも一言どうぞ」と急にマイクを振り返されることがあります。予定していなかった発言なので、慌てて声を張ろうとしがちですが、ここでも大きな声で応じる必要はありません。短く受けて次の進行に戻る、という流れを事前に一つだけ決めておくと、急な振りにも落ち着いて対応できます。
「ありがとうございます。それでは続きまして」
この一言も、慌てて早口にせず、語尾まで息を残して置くことを意識してください。急な場面ほど、声の乱れは内容の乱れよりも聞き手の印象に残ります。
BGMやカラオケが鳴り続ける会場での声の通し方
宴会場によっては、進行の間もBGMが流れ続けたり、隣の部屋からカラオケの音が漏れてきたりします。この環境で声を通そうとして音量を張り合うと、喉への負担がさらに増えます。効くのは音量勝負をすることではなく、BGMの音の高さと自分の声のトーンを少しずらすことです。BGMが低めの音域で鳴っている場合、声のトーンを普段よりわずかに高く保つだけで、音が重ならず輪郭が残りやすくなります。逆に無理に低く渋い声で通そうとすると、BGMに埋もれてしまうことがあるので注意してください。
今日スマホ1つでできる、開宴前の準備
長い発声練習は必要ありません。まず、椅子に座ったまま口を軽く閉じて息を吐き切ります。次に、横隔膜のあたりを前に軽くつまむような感覚を作ったまま、開宴の一言を普段と同じ声量で録音してみてください。
「皆様、本年も一年間大変お世話になりました。ただいまより忘年会を開宴いたします」
確認するのは、最初の一音がすぐに立ち上がっているかと、その感覚を保ったまま最後まで話し切れているかの二点です。この二点が整えば、会が進んでボリュームが上がっても、毎回声を張り直さずに済むようになります。当日の会場に入る前、控室や廊下でこの一言だけ小さく声に出しておくと、開宴の瞬間により落ち着いて臨めます。
二次会への引き継ぎでも、声の使い方は変わりません
一次会が終わり、二次会へ移動する案内をする段階になると、多くの幹事はすでに声がかすれ始めています。ここでの「お店の場所はこちらです」といった案内も、大きな声で繰り返し叫ぶより、参加者を数人ずつのまとまりに集めてから、腹圧を保ったまま一度だけ落ち着いて伝えるほうが、聞き逃されにくくなります。移動中のざわつきに負けまいと何度も同じ案内を叫び続けるのは、一晩の終盤にきている喉には特に負担が大きいので、集合を待ってから声を出すという順番を意識してください。
幹事の声は、張る回数を減らすほど最後まで保ちます
忘年会や宴会の幹事に必要なのは、参加者より大きな声を出し続けることではありません。開宴の第一声を丁寧に置き、余興やビンゴの合間は支えの感覚を保ったまま声を出し、ざわつきを引き戻す一言は焦らず語尾まで残す。この積み重ねが、中締めまで喉を保たせる土台になります。
今年こそ声を枯らさずに乗り切りたいと思うなら、まずは開宴前のこの準備から試してみてください。
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よくある質問
- Q. 幹事の声が終盤になるほど枯れるのはなぜですか
- 会が進むほど会場のボリュームが上がり、それに負けまいと毎回声を張り続けることで喉を締め続けてしまうためです。声量よりも横隔膜を支える意識に切り替えると枯れにくくなります。
- Q. 参加者が盛り上がっている中で注意を引き戻すにはどうすればいいですか
- 急に大きな声を出すよりも、腹に圧をかけたまま一定の太さの声を出すほうが、かえって会場の耳に届きやすくなります。
- Q. 宴会が始まる前に短時間でできる準備はありますか
- 椅子に座ったまま口を軽く閉じて息を吐き切り、横隔膜のあたりを軽くつまむ感覚を作ってから開宴の一言を声に出すだけで十分です。長い発声練習は必要ありません。
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