鼻声っぽい話し方の原因。こもらず通る声に整える方法

鼻声っぽい、声がこもる、通らないと感じる人へ。鼻にかけるのではなく、息の通り道と母音で声を整える方法を解説します。

奥津ユキ

鼻にかかったような話し方が気になる人は、鼻そのものより、話し出す直前の息と口の開き方を見てください。声質や生まれつきの性格の問題ではなく、一文の入り方と語尾の残り方で、こもって聞こえるかどうかが決まっていることがほとんどです。

この一文を録音して、こもって届いているかを聞き比べます

「こちらが今回の確認事項です」

まず普段通りに一回、この一文を読んで録音します。次に、最初の音をきちんと立ち上げ、大事な言葉の手前でわずかに間を置き、最後の語尾まで息を残して、もう一回録音します。同じ一文なのに、二回目の方が輪郭を持って耳に入ることに気づきます。社内向けの説明や資料の読み上げで声がこもりやすいのは、相手の顔色をうかがいながら話すと口があまり開かず、息が鼻の奥にとどまったまま言葉だけが押し出されるためです。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

鼻にかかって聞こえるかどうかは、生まれ持った鼻の形で決まっているわけではありません。話し出す前の息の通り道、喉の力み、体の向き、語尾の始末、間の置き方。この五つをどう扱うかで、届き方は変わっていきます。

鼻に響かせようとするより先に、息の通り道を確認します

鼻声を直そうとして、あえて鼻腔に声を響かせて明るく聞かせようとする人がいます。声の明るさや通りがまったく無関係というわけではありませんが、そこを起点に直そうとすると、たいてい喉で押した声になります。強く出しているつもりでも、聞き手には硬く、余裕のない声として届いてしまうのです。

私が最初に見るのは、息の通り道と母音の形です。話し出す前に、息が止まっていないか。最初の一音を、喉で押していないか。大事な言葉の手前で、息を吸い直していないか。語尾の手前で、息が先に切れていないか。このどれか一つでも崩れていると、声は弱く、こもって聞こえます。

録音を聞き返す時、上手いかどうかは判断材料にしません。見るのは最初の音、大事な言葉の前の間、語尾の三か所です。最初の音が小さいと、聞き手はその言葉を取りこぼします。間が急ぐと、いちばん残したい言葉ほど流れてしまいます。「です」「ます」「します」の語尾が消えると、内容自体は正しくても自信なさげに響きます。強く叩く必要はなく、最後の一音まで息を残すだけで変わります。

鼻声を消そうとして声色を作ると、余計にこもります

やってはいけないのは、別の声を作り込むことです。わざと低く出す。わざと明るくする。無理に張る。ゆっくり話そうと意識しすぎる。どれも一時的には変化を感じますが、体の準備そのものが変わっていなければ、本番ではすぐに元へ戻ります。特に、明るく見せようとして鼻先に力を入れた声や、勢いで押した声は、語尾から先に崩れやすくなります。

声がこもるのは口の開け方が小さいからだ、とよく言われますが、私が見ている範囲ではそれだけではありません。口の開け方が横でなく縦寄りになっていたり、必要以上に口を動かしすぎていたり、喉ぼとけの位置が下がりすぎていたりすることも重なっています。口の大きさだけを直そうとするより、資料を読み上げる直前に、口の両端をほんの少しだけ持ち上げておくほうが、こもった響きが鼻の奥に流れていきやすくなります。大げさに笑う必要はなく、聞き手に気づかれない程度で十分です。最初の一文を短くする。大事な言葉の手前で一拍置く。最後の音まで息を残す。この三つだけで、印象はかなり変わります。

発言直前の30秒と、途中で崩れた時の戻し方

発言する直前に長く練習すると、かえって緊張が増します。口を閉じたまま、まず一度息を吐きます。肩を上げずに、短く息を入れます。声を出さずに、先ほどの一文を口だけ動かします。最後に、実際の声量よりずっと小さい声で、一度だけ声に出してみます。ここで見るのは声の大きさではなく、最初の音がきちんと入っているか、喉で押していないか、語尾まで息が保たれているか、この三点だけです。

説明の途中で鼻にかかった声に戻り始めたら、いっぺんに全部を直そうとしないでください。今話している一文を切り上げて短くする。その文の語尾だけは最後まで言い切る。それでも立て直せない時は、次の一文に入る前にひと呼吸だけ挟みます。この間は黙り込むためではなく、聞き手に言葉を届ける準備の時間です。逆に焦って次々に文をつなげると、声はどんどん浅くこもっていきます。

資料説明で起きやすい三つの崩れ方は、体からも見ます

資料の読み上げでは、声の崩れが単独で起きることはあまりありません。たいてい三つが重なって起きます。一つ目は、話し出す前に息が止まっていること。息を止めたまま話し始めると最初の音が遅れて入り、聞き手には途中から聞こえたように感じられます。二つ目は、大事な言葉の手前で急いでしまうこと。残したい言葉ほど間を取るのが怖くなり、結果として一番流れてしまいます。三つ目は、言い終えた安心で語尾の力が抜けること。内容を言い切った瞬間に気が緩み、「です」「ます」が小さくなります。

この三つは性格の弱さではなく、体と息の順番の崩れです。喉だけに力を込めるほど、声はますます不安定になっていきます。先に見るべきは足元です。足の裏がしっかり床についているか。体が浮いた状態だと、息まで浮いてしまいます。続いて胸の向きです。資料や画面、相手の表情ばかりに意識が向くと胸が閉じ、声の通り道が狭くなります。そしてあごです。あごが前に突き出たり、首の前側がこわばったりしていると、話し出しの一音を喉で押し込みやすくなります。息の通り道と母音の形を整えるには、喉一点ではなく、足元・胸・あごという体の向きと、息の入口をまとめて戻す必要があります。

こもった例と通る例を、同じ一文で比べます

こもった例は、先ほどの一文を一息でまとめて流してしまう話し方です。語尾が落ちると、言葉自体は正しくても弱く響きます。声を大きくしても、語尾の手前で息が切れていれば印象は変わりません。

通る例は、全体を力強く読み直すことではありません。「こちらが今回の確認事項です」——この一文に入る前にほんの少しだけ息を通しておく。大事な言葉の手前でわずかに間を置く。最後の音まで息を絶やさない。手を加えるのはこれくらいで十分です。派手な演出は必要ありません。伝えるべき言葉を、伝わるべき場所にそのまま置く。これが、鼻声っぽい話し方を直すときの土台になります。

今日使う一文から、通る声に変えていきます

毎日長く練習する必要はありません。今日実際に使う一文を一つだけ選びます。一回目はいつも通りに録音して、最初の音、大事な言葉の前の間、語尾の三点を聞き比べる基準にします。二回目の録音では、最初の音だけをほんの少しはっきり出すことに絞ります。他は特に意識しなくて構いません。三回目では逆に、語尾を最後まで置くことだけに集中してみてください。

声全体を丸ごと変えようとするより、こうして一点ずつ触るほうが、鼻声っぽい話し方は早く変わります。抽象的な発声練習だけを積んでも本番には持ち込みにくく、実際に使う一文をそのまま練習台にするほうが、現場でそのまま出せる声になります。普段自分が実際に口にしている一文を、飾らずにそのまま書き出し、余分な言い回しを削って短くし、声を意識して置く箇所を最初の音・大事な言葉の手前の間・語尾の三つだけに絞ってください。

本番でも、練習通りに全部できる必要はありません。最初の音だけでも入っていれば、大事な言葉の手前で一拍置けていれば、あるいは語尾さえ消えていなければ、それだけで声の印象は変わります。鼻声っぽい話し方を直すというのは、自分を作り変えることではなく、仕事の場面で自分の言葉をそのまま届けられるようにする、それだけのことです。

派手な発声練習を積む必要はありません。会議室で資料を開く前の一言から、今日の一文で試してみてください。

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鼻声以外の角度からも自分の声を見直したい人は、次の記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 鼻声 話し方で最初に確認することは何ですか
声量だけでなく、息、言葉の頭、間、語尾まで声が残っているかを確認してください。
Q. 録音練習は必要ですか
必要です。自分の体感ではなく、相手にどう届いているかを確認できます。
Q. 本番前にできることはありますか
実際に使う一文を短く録音し、出だしと語尾だけを確認してください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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