面接で声が小さい人へ。第一声で印象を変える声の準備

面接で声が小さい、震える、頼りなく聞こえる悩みを、緊張だけでなく第一声・息・語尾から解説します。面接前にできる声の準備も紹介します。

奥津ユキ

面接で声が小さいと悩む人に、まず試してほしいことがあります。性格を直そうとする前に、たった一言をスマホで録って聞き比べることです。

挨拶の一文を録って、二回目で変えます

やることは一つだけです。面接室に入ったつもりで背筋を伸ばし、「本日はよろしくお願いいたします」と声に出してスマホに録音します。すぐに再生し、出だしの音・「よろしく」の手前の間・語尾の三箇所だけに耳を向けてください。

次に、話し始める前に口を閉じたまま息を一つ吐き切ってから、同じ一文をもう一度録ります。ほとんどの人は、二回目のほうが出だしの音がはっきり入ります。息を吐き切ってから声を出しただけで、喉に頼らず言葉が前に出るからです。

この二回を聞き比べると、声の大きさ自体はさほど変わっていないのに、聞こえ方だけがはっきり変わっていることに気づくはずです。変わったのは声量ではなく、話し出す前の一瞬に息が入っていたかどうかだけです。面接の準備というと発声練習や滑舌の練習を思い浮かべがちですが、まず動かすべきはここです。

声が小さいのは性格ではなく、話す前の一呼吸です

面接会場の受付で名前を呼ばれ、案内の人について廊下を歩き、面接室のドアをノックするまでの数十秒。この間に息が浅くなっている人がほとんどです。息が浅いまま「失礼します」と言うと、出だしの一音が喉の奥にとどまり、面接官には聞き取りにくい第一声として届きます。

声の大きさそのものより、私が先に見るのは第一声に息が乗っているかどうかです。息のスピードが遅いと言葉は前に出ず、逆に吐く勢いさえあれば声量は自然についてきます。気合いで声を張ろうとすると喉で押した硬い声になり、面接官には余裕のなさとして伝わってしまいます。

これは緊張で声がうわずる、震えるという悩みにも同じことが言えます。うわずりや震えは気持ちの弱さだけで起きるのではなく、筋肉の使い方の問題です。お腹に軽く圧をかけたまま話し続けると、その支えだけで震えが収まってくることが多く、吐くときだけでなく息を吸うときにも圧を抜かないことがポイントです。

声が小さい、うわずるといった悩みは性格の弱さではなく、体の使い方の癖です。緊張の度合いが同じでも、息と喉の使い方さえ揃えば、驚くほど同じ声で挨拶できるようになります。

体の点検も、喉だけでは足りません。椅子に座ったとき足の裏がしっかり床についているか。ここが浮いていると息もふわついたままになります。面接官の視線を正面から受けて胸が縮こまっていないか。閉じたままだと声が前に抜けにくくなります。顎が前に出て首の前側が張っていないか。ここが硬いと出だしの一音を喉だけで押す形になりがちです。この三箇所を座った姿勢のまま軽く確かめておくだけで、挨拶の通り方は変わります。

圧迫気味の面接官を前にしても崩れない、控室30秒の準備

複数の面接官がずらりと並ぶ形式や、資料をめくりながら淡々と質問してくる面接官には、それだけで気圧されて声が縮こまりがちです。だからこそ準備は面接室の中ではなく、その手前で終わらせておきます。

案内を待つ間、口を閉じたまま息を一つ吐き切ります。次に肩を上げずに短く息を取り込み直します。声には出さず先ほどの一文を口の形だけでなぞり、最後に極めて小さな声で一度だけ実際に出してみます。ここで確かめるのは声量ではなく、出だしの音が欠けていないか、喉が力んでいないか、語尾まで息が保たれているかの三点だけです。

新卒の一次面接でも、転職の役員面接でも、この30秒でやることは変わりません。相手の人数や役職が増えるほど、事前にこの手順を踏んでおく効果は大きくなります。面接官が机の上で履歴書をめくる音が聞こえたら、それを合図に息を吸い直すと決めておくのも一つの方法です。音や仕草を呼吸の合図に変えてしまえば、待っている時間そのものが練習になります。

低く作る、大きく張る、ゆっくり話す。その場しのぎは本番で崩れます

声が小さいと自覚している人ほど、面接直前に声そのものを作り変えようとします。喉の奥を締めて低く出す、腹に力を入れず声量だけを張る、一語一語をことさら伸ばしてゆっくり話す。どれも一時的にはうまくいった気がしますが、体の準備そのものが変わっていなければ、質問に詰まった瞬間に元の癖へ戻ります。とりわけ無理に低くした声や押し出した声は、語尾のあたりから真っ先に崩れます。

面接前に控室で発声練習を繰り返す人もいますが、直前に声質そのものを変えようとするほど、本番では喉がこわばりやすくなります。控室でやるべきは声を作ることではなく、話し出す前の一呼吸を思い出すことだけです。

面接官が求めているのは作られた声ではなく、聞き返さずに受け取れる声です。「よろしく」の手前で一拍待つ。語尾の一音まで息を残す。この二つだけを崩さない方が、声色を作り込むより結果が安定します。

自信の見せ方には二種類あります。声を張って押し出す動の自信と、落ち着いたままの声量で伝わる静の自信です。面接では大きさを競う必要はなく、語尾まできちんと届いているかどうかで、どちらの自信も十分に伝わります。

録音で聞くのは、好き嫌いではなく体の使い方です

自分の録音した声には、多くの人が最初は違和感を覚えます。話しているときは頭の中で低く響いて聞こえる声と、面接官に実際届いている声が違うためで、これは誰にでも起きることです。骨伝導で自分の耳に届く声と、空気を伝って相手に届く声は、そもそも通り道が別なので、聞こえ方が違って当然なのです。録音は嫌な声を責める道具ではなく、挨拶のどこを直すかを切り分けるために使います。

聞く場所は出だしの音、「よろしく」の手前の間、語尾の三点のみです。好きな声かどうかを判断し始めた瞬間に練習は止まります。声の良し悪しではなく、息が止まっている場所を探すつもりで聞き返してください。

一度で三点すべてを直そうとしなくて構いません。今日は出だしの音だけ、明日は語尾だけというように、一回の録音で見る場所を一つに絞るほうが、結果的に早く整います。欲張って全部を直そうとすると、どれも中途半端なまま本番を迎えることになります。

想定外の質問で声が縮んだら、その場での立て直し方があります

答えに詰まる質問が来た瞬間、声がさらに小さくなる人は少なくありません。そこですべてを一気に立て直そうとする必要はありません。まず答えの一文を短く切ります。次に語尾までを言い切ります。それでも声が落ち着かなければ、次の質問に移る前にほんの一瞬だけ黙ります。

この一瞬は言葉に詰まっているのではなく、面接官が答えを受け取るための間です。焦って言葉を継ぎ足すほど、声はかえって浅くなります。短く切る、語尾まで言い切る、一瞬待つ。この三手を知っているだけで、想定外の質問への構えは変わります。

「弊社を志望する理由を、一言でお願いします」のように、答えを一文に圧縮させる質問は特に声が縮みやすい場面です。長く説明しようとするほど息が続かなくなるので、あえて短い一文で言い切ると決めておくと、声の落ち着きを保ちやすくなります。

面接室のドアを開ける前、最後に確かめるのはこの一言だけです

回答を一問一答で丸暗記するより、面接で最初に口にする一言を仕上げておく方が、当日の落ち着きに直結します。「本日はよろしくお願いいたします」を出だし・間・語尾の三点だけ整えて言えるようにしておけば、続く受け答えの声もその流れに乗ります。

面接会場に向かう道すがら、あるいはエレベーターを待つ間に、もう一度だけこの一言を小さな声で確かめてみてください。ドアをノックする前にできる準備は、それで十分です。

声が小さいという悩みは、性格を作り直す話ではありません。挨拶という数秒の場面で、息と喉と語尾の順番を整えるだけの話です。順番さえ守れれば、無理に別人の声を作らなくても、面接官には十分な準備が伝わります。

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よくある質問

Q. 面接で声が小さいと不利になりますか
声だけで合否が決まるわけではありませんが、第一声が小さいと準備や意思の強さまで弱く見えることがあります。挨拶の一文を整えるだけでも印象は変わります。
Q. 面接前に何を練習すればいいですか
回答を全部暗記する前に「本日はよろしくお願いいたします」を録音し、息が止まっていないか、語尾まで届いているかを確認してください。
Q. 緊張で声が震える場合も同じ練習でいいですか
入口は同じです。まず吐いてから第一声を出し、短い文で区切ると震えや語尾落ちを抑えやすくなります。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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