オンライン商談のデモで声が流れる人へ。機能説明が価値に聞こえる声

オンライン商談のデモで説明が単調になる、機能名だけが流れる人へ。画面共有中でも価値が残る声の置き方を整理します。

奥津ユキ

オンライン商談のデモでは、画面を見せた瞬間に声が脇役になりやすいです。 機能名を読み上げる、画面操作に息を奪われる、価値を言う語尾が消えるという崩れ方があると、言葉は正しくても相手には弱く残ります。声質を責める前に、息、喉、体、語尾、間のどこで崩れているかを分けて見ます。

オンライン商談のデモでは、最初の一文で聞かれ方が決まります

画面共有のボタンを押した瞬間、意識はカーソルと資料に向きます。声は二番目になり、最初の一文がなんとなく流れたまま次の説明に移っていることがあります。

オンライン商談のデモで声が弱くなる人は、話す内容が整っていないわけではありません。画面共有の操作に意識を持っていかれたまま声を出そうとするので、最初の一音が喉だけで押し出され、機能の説明を言い終える頃には語尾が抜けています。すると、準備した言葉であっても、急いでいる、自信がなさそう、価値が薄いという印象で相手に届いてしまいます。

たとえば、次の一文です。

「ここで見ていただきたいのは、入力の速さではなく、確認漏れを減らせる点です。」

この一文は、内容を変えなくても声の置き方で聞かれ方が変わります。ここで見ていただきたいのはを小さく入ると、最初から主導権が弱くなります。入力の速さではなくを急ぐと、大事な意味が流れます。確認漏れを減らせる点ですの語尾を落として画面を切り替えると、機能を見せただけで終わった印象になります。

奥津ユキ
奥津ユキのミニコメント

画面越しに伝わる声の説得力は、生まれつきの声質だけで決まるわけではありません。息の流れ、喉の力み、体の構え、語尾の残し方、操作の合間に置く間。この五つの選び方次第で、機能説明が価値として届くかどうかは変わります。

画面に映す情報を増やすほど、声はさらに崩れます

オンライン商談のデモで声を直そうとする時、見せる画面や資料を増やして説明量だけで納得させようとする人がいます。気持ちは自然です。けれど、その直し方だけでは、切り替える操作が増えるほど声の負担が喉に集まりやすくなります。

画面を切り替えようとすると、その瞬間だけ声が止まります。次のタブを探しながら話そうとすると、息が浅いまま言葉だけが先に出ます。ゆっくり見せようとして間を伸ばすと、今度は語尾が沈んで説明が重く聞こえます。

見る順番は、声量でも話し方の上手さでもありません。まず、カーソルを動かす前に息が動いているか。次に、機能名の言い始めが埋もれていないか。画面が切り替わる直前に、一拍待てているか。最後に、価値を伝える一文の語尾まで息が残っているか。この順番で見ると、画面操作を止めなくても声だけ整えられます。

画面操作の手元に意識が吸われると、息が止まります。声は画面に向けず、聞いている人へ戻す。重要語の前に短い間を作ると、機能説明が価値の説明に変わります。

オンライン商談のデモ用の一文は、録音で三つの場所を聞きます

練習では、長い文章を読む必要はありません。まず次の一文だけを録音します。

「ここで見ていただきたいのは、入力の速さではなく、確認漏れを減らせる点です。」

聞くときは、説明が上手かどうかを判定しないでください。画面共有中に崩れやすい三箇所だけを確認します。

一つ目は最初の音です。カーソルを動かしながら話し始めると、ここで見ていただきたいのはの入りが埋もれ、聞き手は説明の起点を見失います。叩くように強めるのではなく、息のほうが先に流れて、その上に言葉が乗っているかを聞きます。

二つ目は重要語の前です。次の操作へ気持ちが先に向かうと、入力の速さではなくの手前で待てないまま話が進みます。長く止まる必要はなく、次のクリックを一瞬こらえて相手に受け取る余白を渡せているかを見ます。

三つ目は語尾です。次の画面のことを考え始めた瞬間、確認漏れを減らせる点ですの最後が抜け落ち、機能の説明で終わったように聞こえます。強く言い切るのではなく、最後の一音まで息が保たれているかを確認します。

デモ本番の前にやる練習は、短い三文で十分です

画面共有の直前は、発声練習を積むより、実際にデモで話す言葉をそのまま短く区切って確認するほうが効果があります。次の三文を、画面を見せているつもりで録音してください。

練習文聞く場所
「ここで見ていただきたいのは」最初の音が小さく消えていないか
「入力の速さではなく」重要語の前で急いでいないか
「確認漏れを減らせる点です」語尾まで息が残っているか

一回目は、画面を見ながらいつも通りに読みます。二回目は、次の画面に切り替える直前に一度だけ息を吐いてから読みます。三回目は、次の操作に手を伸ばしても、語尾だけは最後まで置くことを意識します。

この時、聞こえの良さそうな声を作ろうとしないでください。整った声より、画面越しでも相手に届く声の方が大切です。録音で聞くべきなのは、声色ではなく、入り、間、語尾です。

画面越しで声が崩れる原因は、性格ではなく体の使い方に出ます

機能名を淡々と読み上げているだけだと感じる時、自分は話すのが苦手なのだと思いやすくなります。ただ、モニター越しで相手の反応が見えないまま話し続けているだけで、声の弱さを性格のせいだと決めつけると、直す場所が見えなくなります。

相手の顔が小さく映るだけの画面では、反応が読めない分だけ体は固まりやすいです。肩が上がる。画面をのぞき込むように背中が丸まる。カーソルを合わせながら息を吸ったまま話し始める。喉で最初の音を押してしまいます。

反対に、画面に顔を近づけすぎず、吐く息を短く流してから話すと、声の入り口が変わります。機能名の言い始めが埋もれず、重要語の前で一拍待てて、語尾が最後まで残ります。

オンライン商談のデモで声が崩れる時の具体的な順番

画面を切り替えながら機能名を並べているだけのように聞こえる時、崩れは同時に起きているように見えます。ただ、録音で聞き返すと順番があります。最初にカーソルを動かす手元へ意識が移って息が止まり、次に機能名の言い始めが小さくなり、そのあと画面切り替えを急いで重要語が流れ、最後に語尾が落ちます。

この順番を知らないまま声だけを張ろうとすると、最初の勢いだけが強くなります。画面が変わった直後は大きく聞こえても、次の操作に移る頃には息が足りなくなり、肝心の一文の最後が弱くなります。

反対に、最初の息を短く流してから話すと、声の立ち上がりが変わります。ここで見ていただきたいのはを押さずに入る。入力の速さではなくの前でほんの少し待つ。確認漏れを減らせる点ですを最後まで言い切る。この三つを分けるだけで、同じ文章でも輪郭が出ます。

ここで大切なのは、デモ用に声を作り込もうとしないことです。必要なのは、聞き手がカーソルではなく声を追える状態にすることです。声色を整えるより、息の流れと語尾の残り方をそろえる方が、画面越しでは安定します。

画面共有中に直す順番は、姿勢、息、言葉の頭、語尾です

オンライン商談のデモの前に、まず姿勢を作ります。背筋を無理に伸ばすのではありません。相手の反応が見えにくいからと画面に顔を近づけすぎると、胸が縮んで息が浅くなります。足の裏を床に置き、みぞおちを固めすぎず、吐く息が前に流れる状態を作ります。

次に、息です。画面が切り替わる直前に大きく吸う人ほど、次の一言が硬くなります。吸うより先に、短く吐いてください。カーソルを動かす手が止まっていなくても、吐く息さえ動いていれば、喉で一音目を押しにくくなります。

その次に、言葉の頭です。「ここで見ていただきたいのは」の最初の音を、画面を指し示しながらでも強く叩かずに置きます。小さく入るのではなく、相手が聞き始められる位置に置く感覚です。

内蔵マイクだからしっかり声を張らなければ届かないと思われがちですが、私の実感では、マイクに声を乗せれば十分で、そこまで張る必要はありません。むしろ大事なのは滑舌です。カーソルを動かしながら顎を上下にパカパカ動かして話すと、機能名の発音がぼやけてマイクのりも悪くなります。顎を軽く固定し、横に「い」の形をつくったまま話すだけで、輪郭がはっきりして画面越しでも聞き取りやすくなります。

最後に、語尾です。「確認漏れを減らせる点です」を、画面の次の操作に気を取られて言い終わる前に落とさないようにします。強くする必要はなく、最後の一音まで息を保つだけで、聞き手はその機能の説明が終わったと区切りをつけられます。

デモの一文は、画面操作を足しながら三段階で練習します

カーソルを動かしながらいきなり本番の速度で説明すると、いつもの癖がそのまま出ます。次の一文を、操作を少しずつ足しながら三段階で練習してください。

「ここで見ていただきたいのは、入力の速さではなく、確認漏れを減らせる点です。」

一段階目は、意味のまとまりで区切ります。ここで見ていただきたいのはで一度置き、入力の速さではなくの前で待ち、確認漏れを減らせる点ですを最後まで届けます。この段階では、速さを気にしません。

二段階目は、声量を上げずに、画面を見せているつもりで同じ一文を読みます。張らなくても聞こえるかを確認します。聞こえない場合に直すのは声量ではなく、言葉の頭です。入りが曖昧なまま声だけ大きくしても、画面越しには雑に届きます。

三段階目は、次の画面へ移る手を止めずに、本番に近い速度で読みます。ただし、語尾だけは捨てないでください。操作を急ぐ時ほど、最後の言葉にその人の印象が出ます。語尾が落ちると、弱い、急いでいる、自信がないという印象につながります。

デモの録音は、画面の切り替わり地点ごとに聞きます

録音を通しで聞いて印象だけを判断すると、どこを直すべきか見えなくなります。画面が切り替わる地点ごとに区切って聞いてください。

最初の画面で聞くのは、ここで見ていただきたいのはです。ここが小さいと、相手は最初の説明が始まったことにすら気づけず、聞き逃した部分を頭の中で埋めながら聞くことになります。

次に聞くのは、入力の速さではなくです。次のクリックを急ぐと、いちばん伝えたい比較のポイントが流れてしまいます。重要語は大きく言うより、次の操作の前にわずかな余白を作るほうが伝わります。

最後に聞くのは、確認漏れを減らせる点ですです。最後の一音が消えているなら、途中まで良くても印象が弱くなります。語尾が残る声は、聞き手に判断の余白を渡します。

録音した自分の声に違和感があっても、声そのものを嫌わないでください。ふだん自分に聞こえている声は骨を伝わった音も混ざっていて、録音の声とは聞こえ方のルートが違うだけです。録音は、癖を責めるためではなく、画面越しの相手にはどちらの声が届いているかを確かめるために使います。

オンライン商談のデモの声は、毎回同じ声色でなくていい

仕事で信頼される声というと、低く落ち着いた声を想像しがちです。ただ、すべての場面を同じ低い声で話す必要はありません。オンライン商談のデモの中にも、機能を見せる場面、質問に答える場面、価格の話に移る場面があり、それぞれに合う声の役割があります。

機能を見せる場面では、急がずに語尾を残す。質問に答える場面では、重要語の前で少し待つ。価格の話に移る場面では、最初の音を曖昧にしない。締めの場面では、最後の一文を流さない。

声を変えるとは、声色を演じ分けることではありません。画面共有の中の場面ごとに、息、喉、体、語尾、間の使い方を選べるようになることです。ここまで場面ごとに分けて練習しておくと、声の印象はモニター越しの相手にどう届くかで判断できるようになります。

最後に一度だけ、画面の向こうの相手の立場で聞き直します

仕上げでは、自分がうまく話せたかではなく、画面の向こうの相手が最初の一文を受け取れるかを聞きます。入りが小さければ、相手は最初から追いかける側になります。重要語が流れれば、何を判断すればよいかが曖昧になります。語尾が消えれば、話の終わりが弱く残ります。

録音を一度だけ、画面の向こうにいる相手の立場で聞くと、直す場所がかなり絞れます。声を良く見せるためではなく、反応が見えにくい相手が判断しやすい声にするために聞いてください。

まとめ

オンライン商談のデモの声は、根性や話術だけで変えるものではありません。ここで見ていただきたいのはの入り、入力の速さではなくの前の間、確認漏れを減らせる点ですの語尾を整えるだけでも、聞かれ方は変わります。

声を変えることは、画面越しの伝わり方を変えることです。次の商談の前に、この一文だけをスマホで録音して、息、喉、体、語尾、間のどこで崩れているかを見てください。そこが見えれば、声は練習で整えられます。

よくある質問

Q. オンライン商談のデモで声が弱く聞こえる原因は何ですか
機能名を読み上げる、画面操作に息を奪われる、価値を言う語尾が消えるなどで、息・喉・体・語尾・間のどこかが崩れていることが多いです。
Q. 大きな声を出せばオンライン商談のデモの印象は良くなりますか
声量だけでは安定しません。最初の音、重要語の前の間、語尾まで息を残すことを先に整えます。
Q. 本番前に何を練習すればいいですか
本番で使う一文を録音し、入り、間、語尾の三点だけを確認してください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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