営業フォロー電話の声。催促に聞こえず次の会話につなげる話し方

営業のフォロー電話で催促っぽく聞こえる、遠慮して弱くなる人へ。確認、提案、次回案内の声の置き方を整えます。

奥津ユキ

営業のフォロー電話は、提案の中身がどれだけ良くても、声の出方ひとつで受け取られ方が変わります。返事を急かしたくない気持ちと、放っておいてよいのかという焦りが同時にあるため、声は小さく沈むか、早口で急いた印象になりがちです。理屈の前に、まず次のフォロー電話で実際に使う一文で、ご自身の声がいまどう聞こえているかを確かめてください。

用件を尋ねる文の語順を入れ替える

フォローの電話で、「いま一分だけ、お時間よろしいでしょうか」と言ってみてください。一度目は、この順番のまま言います。二度目は、「お時間よろしいでしょうか、いま一分だけ」と、同じ語を逆の順番にして言ってください。変えるのは、時間の長さを示す語と許可を尋ねる語の並び順だけです。名乗り、声量、速さ、高さ、通話を始める時刻、受話器の位置、相手との過去の連絡内容はそろえます。

私がこの場面でまず確認したいのは、相手が返答する前に、予定表やパソコン画面へ視線を移すか、それとも姿勢を変えずに返答を始めるかです。時間の幅が先に出ると、許可を尋ねる語の前に、予定表や手帳を開く動きが出るということが起こります。協力者がいる場合は、返答までの空白をストップウォッチで測り、一度目と二度目の秒数を並べます。二つの文には同じ語が入っているため、依頼内容の有無や所要時間を変えていません。返答前に相手のマウス操作が増えるか、次の予定を確認するために手帳を開くかも観察対象にします。これで、用件を用意してから発声した差ではなく、語の並びだけを比較できます。差が出なければ、語順ではなく、前回連絡からの間隔や発信番号の表示が別の原因です。

催促と遠慮のあいだで、フォローの声は揺れます

伝えたいことは決まっているのに、相手が出ると声が小さくなる。あるいは、間があくのが怖くて先に先にと話してしまう。どちらも、催促と遠慮のあいだで声が定まっていない状態です。最初の一声が小さいと、相手は電話の用件を掴み損ねます。検討状況という言葉の前に間がないと、何を答えればよいか整理する時間を奪います。語尾が流れると、最後に急かされたという印象だけが残ります。

催促に聞こえたくない気持ちが強い人ほど、第一声を小さく、申し訳なさそうに出そうとします。ですが、小さく出す声は喉に力が集まりやすく、続けて話すうちにかえって硬くなります。フォロー電話で相手に求められているのは、大きさでも申し訳なさでもなく、検討状況を尋ねる目的が正しく届く声です。丁寧な言葉を選んでいても、語尾が消えれば、押しても引いてもいないつもりの電話が催促として届いてしまいます。

日を空けて二度、三度と重ねる追客の電話では、この揺れがさらに大きくなります。気まずさから冒頭の前置きが長くなり、その分だけ早口になっていく人が多いのです。前置きはひとつに絞り、その一文の頭だけを丁寧に置いてください。回数を重ねた電話ほど、言葉を足して和らげようとするより、入りを軽くするほうが重たさは消えます。

整える順番は、息、言葉の頭、語尾です

かける直前、相手の反応を考えて身構えると、息が止まったまま受話器を取ってしまいます。その状態で話し始めると、最初の音を喉で押し出すことになります。整える順番は声色ではなく息からです。コール音を聞きながら短く息を吐いておくと、声は自然に立ち上がります。大きく吸い込んで身構えるのではなく、吐く動きに言葉を乗せる感覚です。

次に、言葉の頭です。出だしが小さく曖昧に始まると、電話の要件が届く前にぼやけてしまいます。強く叩く必要はなく、息の流れの上にことばの出だしを置くつもりで十分です。

最後に、語尾です。言い終えた瞬間に気が抜けて声が落ちないようにします。無理に言い切る必要はなく、最後の一音まで息を保てば、相手は次に何をすればよいかを受け取りやすくなります。

あわせて、受話器を取る直前に口の端をほんの少しだけ持ち上げておくと、声が鼻の方まで自然に通りやすくなります。電話は口先だけで話そうとするとこもりがちですが、意図してハミングのように鼻から響かせようとするより、口の端を軽く上げておくだけのほうが力まずに済みます。

呼び出し音の数秒で、体はもう身構えています

フォロー電話で声が崩れる人は、相手が電話に出るより前、呼び出し音を聞いているその数秒で体を固めていることが多いです。肩がすっと持ち上がる。息が胸のあたりで浅く止まる。みぞおちに力がこもる。この状態になると、本人は声を前へ出しているつもりでも、実際には喉に頼って押し出した声になっています。

身構えを解くのに大きな動作は必要ありません。足の裏を床に置き、肩の力を一度抜いて、息を短く吐いてから話し始めるだけで、声の入り口は変わります。電話は立って話したほうが声の印象がよくなると言われることがありますが、私の実感では、座ったままでも特に問題はありません。座って話すなら、足の裏をしっかり床につけ、短く吐き、その流れの上に出だしを乗せる。この手順だけで声の出はじめは変わってきます。

フォロー電話は、こちらから発信するだけではありません。留守番電話を聞いた相手から、別の作業の最中に不意の折り返しが入ることもあります。資料を目で追ったまま反射的に応答すると、頭が前の作業に残っていて、第一声だけ上の空の音になりがちです。着信に気づいたら、応答するまでのわずかな時間で視線を画面から外し、身構えを解く手順を短くやり直してから名乗ってください。それだけで、待っていた連絡として受け取ってもらえる応対になります。

重要語の前の一拍が、催促と支援を分けます

急いでいるように聞こえる人は、話す速度そのものが速いとは限りません。むしろ、伝えたい語の手前で間を取れていないことのほうが多いのです。相手が意味を受け止める直前に余白がないと、大切な部分ほどそのまま通り過ぎていきます。

長い沈黙は要りません。ほんのひと呼吸分で足ります。その間は、こちらが考え込む時間ではなく、相手が言葉を受け取るための時間として置きます。一拍が不自然に感じるなら、実際に話す速さのまま録音して聞いてください。急いでいる自覚がなくても、聞き手からは早口の催促に聞こえていることがあります。話している本人の体感と、電話の向こうで聞いている相手の体感は違います。

語尾も同じで、強く言い切るより残す方が効きます。最後だけ押すと不自然に届き、体が抜けると消えます。置いて終わる感覚で最後の一音まで届けると、そのあと次回の連絡の案内へ自然に続けられ、相手も検討を促されたと身構えずに受け止められます。

直すのは、一本の電話にひとつずつで十分です

かける前の不安はひとまとめに感じられますが、声として見ると、入り、途中、終わりの三つに分かれます。分けないまま練習すると、毎回なんとなく声を出すだけになり、次の電話で同じようにできるとは限りません。

電話中に全部を一度に直そうとすると、かえって余計な力が入ります。今日の電話ではまず入りだけ。次の電話では重要語の前の間だけ。その次で語尾だけ。一本の電話でひとつずつ整える方が、フォロー電話のたびに再現しやすくなります。

受話器を取る直前は、三箇所だけ見ます

かける前に長く発声練習をすると、かえって喉が疲れて硬くなることがあります。フォロー電話は日中の合間にかけることが多く、直前にできることは限られています。だからこそ確認を三点に絞ります。出だしの音が小さく消えていないか。重要語の前が急いで流れていないか。語尾の最後まで息が残っているか。見る場所を決めておけば、受話器を取った瞬間に反映できます。

一度目の架電がつながらず、留守番電話に用件だけ残して切ったあとの再架電は、この三点がとくに崩れやすい場面です。二度目こそ手短に済ませようという気持ちが乗るぶん、出だしの速度が自然と上がります。かけ直す前にも、最初の架電と同じ短い息の準備をやり直してください。同じ手順で入り直せば、続けての連絡が二度の催促としてではなく、区切りのよい確認として残ります。

この三つが整うと、声色そのものを大きく変えなくても、催促のように聞こえていた電話が、確認と提案の電話として届くようになります。声の良し悪しではなく、相手に届く順番が整うからです。

切る直前の語尾に、その電話の余裕が出ます

仕上げに、最初に録音した一文をもう一度録って、一回目と聞き比べてください。

「先日ご提案した内容について、検討状況を確認したくお電話しました。必要であれば、比較しやすい形で再度整理します。」

話し始めよりも、電話を切る直前の語尾にこそ、急かしているかどうかの余裕が出ます。最後が消えていなければ、相手は急かされたと感じずに、安心して次の連絡を待てます。次のフォロー電話は、コール音を聞きながら吐く短いひと息から変わります。かける前の一分の録音を、電話の習慣に足してみてください。

よくある質問

Q. 前回の検討状況を尋ねると、催促しているように聞こえます。
「ご検討いかがでしょうか」だけを高い位置で急ぐと、返答を迫る音になります。私は前回の話題を一度だけ具体的に置き、その後の質問は語尾を引かずに短く終える形を選びます。
Q. 留守番電話で折り返しを頼むとき、用件はどこまで話せばよいですか?
留守番電話では背景を詳しく説明しすぎると、折り返す理由がぼやけます。私は名乗り、連絡した目的、返答しやすい要点の順で声の高さを変えずに伝えます。最後は番号をゆっくり区切ると聞き取りやすくなります。
Q. 一度断られた後のフォロー電話は、どんな声で再びかければよいですか?
私がまず確認したいのは、断りへの反応を明るく作りすぎると、理由を受け止めていないように響く点です。まず前回の意向を落ち着いた高さで受け、今回の連絡理由は一段階だけ速さを落として、目的を限定して伝えます。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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