オンライン面接の声。画面越しでも印象が薄くならない話し方

オンライン面接で声がこもる、表情は作れても印象が薄い人へ。入室直後の第一声、回答の語尾、録音確認を整えます。

奥津ユキ

オンライン面接を終えたあとに「思ったより印象が薄かったかもしれない」と感じるなら、原因は声質ではなく、画面の前で息を止めている一瞬にあることがほとんどです。挨拶の一言目が小さい、回答の締めが消える、モニターに集中するうちに呼吸が浅くなる。入室を待つ数十秒の待機画面の間に、こうした崩れはすでに始まっています。性格の弱さではなく、体の使い方のクセとして表れているだけです。

カメラを起動したら、まず一文だけ録ってみます

新しく機材や台本を用意する必要はありません。今すぐスマホのボイスメモを起動し、次の一文をそのまま録ってみてください。

「本日はお時間をいただきありがとうございます。〇〇と申します。よろしくお願いいたします。」

録れたら一度再生します。次に、声を出す前に短く息を吐いてから同じ一文をもう一度録ります。最後に、結びの「よろしくお願いいたします」だけ、最後の一音まで息を残す意識で三回目を録ります。三つを聞き比べると、一回目は出だしが硬く、二回目は入りがやわらぎ、三回目は終わりの印象がはっきり変わっているはずです。この差が、画面越しの第一声を決めている正体です。

崩れているのは話し方ではなく、呼吸が止まる一瞬です

オンライン面接で声が届きにくくなる人は、準備不足とは限りません。多くの場合、話し出す直前に呼吸を止め、喉だけで最初の音を押し出し、文の終わりを言い切らずに手放してしまっています。言葉づかいは整っていても、そのせいで急いでいる、自信がない、軽いという印象に変わります。

先ほどの一文で言えば、冒頭「本日はお時間をいただき」が小さいと場の主導権を失い、「〇〇と申します」を急ぐといちばん覚えてほしい名前が流れ、結びの語尾が消えると最後に残るはずの印象が薄くなります。声の大きさではなく、呼吸が先に動いているか、出だしの音がきちんと立っているか、名乗りの手前でわずかでも間があるか、結びまで息が保たれているか。この四点の崩れ方に順番があり、まず呼吸が止まり、続いて出だしが小さくなり、名乗りが急がれ、最後に語尾が落ちるという流れをたどります。

回線の遅延を気にして早口になるのも、オンライン面接ならではの崩れ方です。自分の声が相手に届くまでのわずかな間が気になり、その空白を埋めようと言葉を継ぎ足してしまう。この焦りが、名乗りの手前の間を削り取り、語尾を押し込む方向に働きます。遅延そのものは自分では調整できませんが、話す側の間の取り方は自分で選べます。

カメラ目線を追うより、鏡ではなくレンズに息を通します

オンライン面接の対策として、カメラ目線や表情づくりばかりに気を配る方は多く、発想自体は間違っていません。ただ、そこにばかり意識を割くと、喉にかかった負担はそのまま残ります。画面越しでは声が届きにくいはずだと思い込んで張り上げると出だしだけが強くなり、落ち着かせようとして声を低く作りすぎると今度は語尾が沈みます。

目線そのものより声の届き方の影響のほうが大きいというのが私の実感です。小さなカメラのレンズを見つめるとき、人は自分の映る小窓のほうへ意識を引っ張られ、そこで呼吸が浅くなります。挨拶に入る前に体の前方へ息を通しておき、名乗りと結びの語尾を最後まで置くようにすると、レンズの奥にいる面接官に向けて輪郭が浮かび上がってきます。

こもって聞こえるなら、口先ではなく鼻先に声を通します

自分の再生した声がこもって聞こえるのは、声が悪いからではなく、口だけで喋ろうとしているサインです。鼻の方に響かせるつもりで、口角を軽く上げてみてください。意図して鼻にかけようとするより、口角を上げるだけのほうが自然に鼻腔へ声が乗り、内蔵マイクにもすっきり届きます。

録音した自分の声に違和感を持つのも自然な反応です。自分の耳には骨を伝って低く聞こえ、画面の向こうのマイクには外の空気を伝って高く届いています。誰でも同じ差があるので、嫌いな声だと決めつけず、直す場所を見つけるための材料として聞いてください。イヤホンのマイクと内蔵マイクでも拾い方は変わるため、本番で使う機材のまま録音して確かめておくと、当日の誤差が減ります。

ミュート解除の直後こそ、一拍空けます

Zoomやミートでは、発言のたびにミュートを外す操作が挟まります。焦って解除した瞬間に喋り始めると、マイクが音を拾い始める前に言葉が始まってしまい、出だしの一音がまるごと相手に届かないことがあります。ミュートを外したら、コンマ数秒でいいので一拍置いてから声を出す。この一拍だけで、聞き手に届く出だしの印象は変わります。

逆に、ミュートを外すタイミングを気にしすぎて肩に力が入る人もいます。指先の操作と声の準備を同時にこなそうとせず、まず指でミュートを外し、それから息を整えて言葉を出す。動作と発声を分けるだけで、慌ただしさは減っていきます。

本番直前は、三つの短いフレーズだけ声にします

本番が近づいたら、複雑な発声練習よりも、実際に使う言葉をそのまま短く整えるほうが効果的です。次の三つを、声を張らずに順番に口にしてみてください。

練習フレーズ見る場所
「本日はお時間をいただきありがとうございます」出だしの音が小さく消えていないか
「〇〇と申します」名乗りの手前で急いでいないか
「よろしくお願いいたします」結びの語尾まで息が保たれているか

一巡目はいつもの調子で。二巡目は声を出す前にひと呼吸だけ挟んで。三巡目は結びの音を最後まで置くことだけに集中します。画面映えする声を演出する必要はありません。整った声よりも、画面の向こうの面接官にきちんと届く声のほうに意味があります。

声が弱いのは性格ではなく、体がこわばっているだけです

挨拶が小さい、回答の締めが消える、画面を見ているうちに呼吸が浅くなる。こうした状態が続くと、自分は話すことが苦手な人間なのだと思い込みがちです。ですが性格のせいにしてしまうと、直すべき場所そのものが見えなくなります。

緊張が高まるほど肩が持ち上がり、画面に映る自分の姿勢が気になって背中の動きが止まり、息を吸ったまま話し始め、喉の力だけで最初の音を出そうとします。この状態では、本人は声を出しているつもりでも、マイクの先の面接官には届きにくくなります。反対に体の前面を固めすぎず、吐く息を短く流してから話し始めると、声の入り方そのものが変わります。

ノートパソコンの画面に顔を近づけすぎるのも、体を固めてしまう原因のひとつです。近づくほど背中は丸まり、胸の前が縮んで、息の通り道が狭くなります。椅子に深く座り直し、画面から少し距離を取るだけでも、呼吸の入り方は変わってきます。膝の上に置いた手のひらを軽く開いておくと、肩や腕にも余計な力が入りにくくなります。

カメラの向こうの耳で、もう一度聞き直します

仕上げの段階では、自分がうまく話せたかどうかではなく、画面の向こうの面接官が最初の一文をきちんと受け取れるかという視点で聞きます。もう一度、先ほどの一文を録音してみてください。

「本日はお時間をいただきありがとうございます。〇〇と申します。よろしくお願いいたします。」

出だしが小さければ面接官は言葉を追いかける側に回り、名乗りが流れれば何を手がかりに判断すればよいのか曖昧になり、語尾が消えれば話の終わりが弱々しいまま残ります。一度だけ面接官の立場に立って聞き直すと、直すべき場所がかなり絞り込めます。

イヤホンをつけたまま聞くのと、スピーカーで再生して部屋の空気ごと聞くのとでは、印象が変わることもあります。面接官はスピーカー越しに、あるいは会議室のマイクを通して声を受け取っています。一度、イヤホンを外して聞き直すと、画面越しに実際どう届いているかがつかみやすくなります。

画面のこちら側で、今日の一文から

オンライン面接の声は、気合いや話術だけで変わるものではありません。「本日はお時間をいただき」の出だし、「〇〇と申します」の手前の間、結びの挨拶の語尾。レンズ一つ挟んだ向こうにも、この三箇所は同じように届きます。

声がこもる、印象が薄いと感じているなら、次にカメラを起動する前に、まず今日の一文だけをスマホに録ってみてください。それだけで、画面越しの声は今日から変えていけます。

よくある質問

Q. オンライン面接で声が弱く聞こえる原因は何ですか
挨拶が小さい、回答の最後が消える、画面を見ているうちに息が浅くなるなどで、息・喉・体・語尾・間のどこかが崩れていることが多いです。
Q. 大きな声を出せばオンライン面接の印象は良くなりますか
声量だけでは安定しません。最初の音、重要語の前の間、語尾まで息を残すことを先に整えます。
Q. 本番前に何を練習すればいいですか
本番で使う一文を録音し、入り、間、語尾の三点だけを確認してください。
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奥津ユキ
書いた人
奥津ユキ

ボイストレーナー。Snow Man、NiziUなど多くの楽曲を手がける作曲家・前迫潤哉氏が主宰するLEVETCH VOCAL SCHOOLにて、ボーカル指導の代表を務める。 何千レッスンもの現場で、歌手・社会人・表現者の声と向き合ってきました。

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